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脂
「脂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
脂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
《ながむし》も、切れ口の肉を青ませながら、始めは尾をぴくぴくやっていたが、いつか
脂《あぶら》ぎった腹を上へ向けて、もう鱗《うろこ》一つ動かさないようになってしま....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
半身を洗いはじめた。が、黒い垢すりの甲斐絹《かいき》が何度となく上をこすっても、
脂気《あぶらけ》の抜けた、小皺《こじわ》の多い皮膚からは、垢というほどの垢も出て....
「母」より 著者:芥川竜之介
した、痩《や》せぎすな隣室の夫人である。
「いいえ。」
毛糸の球は細い指から、
脂《あぶら》よりも白い括《くく》り指へ移った。
「ここは暖かでございますね。」
....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
をうける患者のような顔をして、不承不承に弟子の僧が、鼻の毛穴から鑷子《けぬき》で
脂《あぶら》をとるのを眺めていた。
脂は、鳥の羽の茎《くき》のような形をして、四分....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
かした目にも、短かに刈り込んだ口髭《くちひげ》にも、――多少の誇張を敢てすれば、
脂光《やにびか》りに光ったパイプにも、ほとんど女人《にょにん》の嬌羞《きょうしゅ....
「影」より 著者:芥川竜之介
おかぜ》が明かに語っている。陳はさっきからたった一人、夜《よ》と共に強くなった松
脂《まつやに》の※《におい》を嗅ぎながら、こう云う寂しい闇の中に、注意深い歩みを....
「河童」より 著者:芥川竜之介
行ったのか、見えなくなったことを思い出しました。しかも河童は皮膚の下によほど厚い
脂肪を持っているとみえ、この地下の国の温度は比較的低いのにもかかわらず、(平均|....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
っていた。
「おい、羽織をとってくれ。」
牧野は夜中《よなか》のランプの光に、
脂《あぶら》の浮いた顔を照させながら、もどかしそうな声を出す事もあった。
お蓮....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
手答えはしなかったらしい。その中に、ふりまわしている軍刀の※《つか》が、だんだん
脂汗《あぶらあせ》でぬめって来る。そうしてそれにつれて、妙に口の中が渇いて来る。....
「女体」より 著者:芥川竜之介
いるが、そこを除いては、山一円、どこを見ても白くない所はない。その白さがまた、凝
脂《ぎょうし》のような柔らかみのある、滑《なめらか》な色の白さで、山腹のなだらか....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
慎太郎は父の云いつけ通り、両手の掌《たなごころ》に母の手を抑えた。母の手は冷たい
脂汗《あぶらあせ》に、気味悪くじっとり沾《しめ》っていた。
母は彼の顔を見ると....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
雨も、山々も、あるいはまた高天原《たかまがはら》の国も忘れて、洞穴を罩《こ》めた
脂粉《しふん》の気の中《なか》に、全く沈湎《ちんめん》しているようであった。ただ....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
に、ふと樗牛のことを思い出して、また竜華寺へ出かけて行った。その日は夏の晴天で、
脂臭《やにくさ》い蘇鉄《そてつ》のにおいが寺の庭に充満しているころだったが、例の....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
の姿は見れば見るほど、敵役《かたきやく》の寸法《すんぽう》に嵌《はま》っていた。
脂《あぶら》ぎった赭《あか》ら顔は勿論、大島《おおしま》の羽織、認《みと》めにな....
「格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
ド・ビフのように料理するが好い。皿に載せた一片の肉はほんのりと赤い所どころに白い
脂肪を交えている。が、ちょっと裏返して見ると、鳥膚になった頬の皮はもじゃもじゃし....