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脂気
「脂気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
脂気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
半身を洗いはじめた。が、黒い垢すりの甲斐絹《かいき》が何度となく上をこすっても、
脂気《あぶらけ》の抜けた、小皺《こじわ》の多い皮膚からは、垢というほどの垢も出て....
「南島譚」より 著者:中島敦
がズキズキと痛むのである。毎晩斯ういう夢を見ている中に、第一長老の身体から次第に
脂気がうせ、出張った腹が段々しぼんで来た。実際芋の尻尾と魚のあらばかりでは、誰だ....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
わからんのです。殊にその当時病気にかゝっているものが、天丼を食う筈はないのです。
脂気のものは淋病には大敵なのであります。 警 それからどうした。 答 川安に....
「食堂」より 著者:森鴎外
もう五十近いのもある。しかしこの食堂に這入って来るコンマ以下のお役人には、一人も
脂気のある顔はない。たまに太った人があるかと思えば、病身らしい青ぶくれである。 ....
「昇降場」より 著者:広津柳浪
うねえ、年は、二十二三でもありましょうか。そぼうな扮装《なり》の、髪はぼうぼうと
脂気の無い、その癖、眉の美しい、悧発《りこう》そうな眼付の、何処にも憎い処の無い....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
も生きている私などは夏から秋へのつぎ目の季節を嫌に思う。折角大切にしていた皮膚の
脂気と、貧しくもめぐっていた私の血液が、腹の奥底へどんどんと逃げ去って行く心地が....
「幻の彼方」より 著者:豊島与志雄
が育ていいとかいう話ですわ。」 彼女は、眼の縁に肉の落ちたらしいたるみが出来、
脂気と濡いとを失った顔の皮膚が総毛立ち、髪の毛の真黒な艶が褪せていた。固く結えた....
「女と帽子」より 著者:豊島与志雄
て、仰向にぷかりと、死人のように浮いていました。お蔭で、あなたの身体は、すっかり
脂気もぬけ、力もぬけて、骨までもくたくたになったようじゃありませんか。それもあな....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ではあったが、しかし利口そうでちょっとかわいく、山羊《やぎ》みたいな面影があり、
脂気《あぶらけ》の多い金色の皮膚をしていた――それが急に宮廷音楽員をちやほやしだ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
仲間たちは、肉屋を見ると、すぐそのまわりを取り巻いた。巧みな出刃の動きにつれて、
脂気のない赤黒い肉が、俎の片隅にぐちゃぐちゃにたまっていくのを、彼らは一心に見入....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
とも私だけは、二の足を踏まないでは居られない。古典としての匂いが光被して、鹸や、
脂気を変じて、人に迫る力としていることも、否まれない。 巌門破る手力もがも。嫋き....
「艶色落語講談鑑賞」より 著者:正岡容
、於梅は寄席では主に手踊りなど見せていたらしいが、衰残の大姥桜、せっかくの踊りも
脂気が抜けてただいたましく寄席もひと廻り巡演しただけで好評再演というわけにはいか....
「雨の上高地」より 著者:寺田寅彦
蕈が運ばれて来た。宿の裏の瀦水池で飼ってある鰻の蒲焼も出た。ここでしばらく飼うと
脂気が抜けてしまうそうで、そのさっぱりした味がこの土地に相応しいような気もした。....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
長いです。それからチベットの御馳走というのはごくしつこい物ばかりで、シナ人よりも
脂気の多い肉のような物ばかり喰うです。あっさりとお茶漬に香の物というような御馳走....
「ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
がつやを失って、いやな灰色に変わっていたことだった。彼はあわてて腕を見た。皮膚は
脂気を失ってかさかさとまるでへびのぬけがらを張りつけたようである── ──どこ....