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「脂汗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

脂汗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
た。 その沈黙はたちまち絞《し》め木《ぎ》のように、色を失った陳の額へ、冷たい脂汗《あぶらあせ》を絞り出した。彼はわなわな震《ふる》える手に、戸のノッブを探り....
首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
手答えはしなかったらしい。その中に、ふりまわしている軍刀の※《つか》が、だんだん脂汗《あぶらあせ》でぬめって来る。そうしてそれにつれて、妙に口の中が渇いて来る。....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
慎太郎は父の云いつけ通り、両手の掌《たなごころ》に母の手を抑えた。母の手は冷たい脂汗《あぶらあせ》に、気味悪くじっとり沾《しめ》っていた。 母は彼の顔を見ると....
高野聖」より 著者:泉鏡花
さて治療《りょうじ》となると例のごとく娘が背後《うしろ》から抱いていたから、脂汗《あぶらあせ》を流しながら切れものが入るのを、感心にじっと耐えたのに、どこを....
十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
攣させている。男学員ペンは上下の歯をバリバリ噛みあわせながら、額からはタラタラと脂汗を流していた。 国楽はだんだん激して、熱湯のように住民たちの脳底を蒸してい....
深夜の市長」より 著者:海野十三
。 「全く愕いている。先刻貴下も見たろうが、あんな風に、手でシッカリと腕を掴み、脂汗を流し、歯を喰い縛っていられる。非常に痛みがあるらしいけれど、医者を呼ぼうか....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
「構わん、やれッ」 「承知しましたッ」運転手は巧みに把手を操った。彼の頸筋には、脂汗が浮んで軈てタラタラ流れ出した。 距離はだんだん迫って来た。 二千メート....
地球盗難」より 著者:海野十三
あれは何が入っていたのじゃろうかどうも腑に落ちん。……」 といって甚平は額から脂汗を流しながら、ふと押し黙った。佐々記者は透かさず、 「実に変なものだったネ、....
怪星ガン」より 著者:海野十三
だ」 サミユル博士は、テッド隊長の腕をつかんで、はや口にいった。老博士の額には脂汗がねっとりとうかんでいた。これにはテッド隊長も緊張のてっぺんへほうりあげられ....
海底都市」より 著者:海野十三
はなかった。僕はその場にしゃがんで、額《ひたい》に手をやった。額には、ねっとりと脂汗《あぶらあせ》がにじみ出ていた。 たいへんなところへ来たものだ、ここは深い....
共軛回転弾」より 著者:海野十三
を到底持ち出しかねる。 「困った。どうすればいいのか」 卿は、顔一面にふき出た脂汗を拭うことも忘れて、いらいらと部屋中を歩きまわる。結局決ったのは、もっと別の....
大宇宙遠征隊」より 著者:海野十三
ったにちがいない」 と、三郎は、ためいきをついた。彼のひたいには、ねっとりと、脂汗がでていた。 艇長の安否 重力装置故障中の五分間は、とても永かった。....
大空魔艦」より 著者:海野十三
そのころ火のついた油タンクは火勢を一段とつよめて燃えさかる。 にげまどう敵の脂汗にまみれた顔に、紅蓮の火が血をあびたように映える。 大団円 不意をう....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
言えぬうつらうつらした気分なのでございます。傍からのぞけば、顔が痙攣たり、冷たい脂汗が滲み出たり、死ぬる人の姿は決して見よいものではございませぬが、実際自分が死....
風波」より 著者:井上紅梅
とが出来るか」 八一ねえさんは腹立ちのあまり子供を抱えて顫えていると、顔じゅう脂汗の趙七爺がたちまち眼を瞠って突進して来たのでこわくなって、言いたいことも言わ....