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「脈管〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

脈管の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青年と死」より 著者:芥川竜之介
いない。己は生きたいのだ。どうか己にもう少し生を味わせてくれ。己はまだ若い。己の脈管にはまだ暖い血が流れている。どうか己にもう少し己の生活を楽ませてくれ。 男 ....
あらくれ」より 著者:徳田秋声
あった。 昔しを憶いだすごとに、時々口にすることのある酒が、萎《な》えつかれた脈管にまわってくると、爪弾《つめびき》で端唄《はうた》を口吟《くちずさ》みなどす....
」より 著者:島木健作
近く大きくなり、やがて心臓が破れんばかりの乱調子で狂いはじめるのだ。身体じゅうの脈管がそれに応じて一時に鬨《とき》の声をあげはじめ、血が逆流して頭のなかをぐるぐ....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ち込み、そのために水が地表に表われて大洋を作り、また破れた殻が山岳を生じる。水は脈管のように固体地殻の中を流動しているというのである。この考えは後にまた幾分敷衍....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
のような見解を与えました。――死因は、たぶん上大静脈を洋剣の背で圧迫したために、脈管が一時|狭窄されて、それが心臓への注血を激減させたに相違ない。しかし、その鬱....
」より 著者:徳田秋声
調の洋服に身を固めて、家を出たときには、活動の勇気と愉快さが、また体中の健やかな脈管に波うっていた。込み合う電車のなかで、新聞を拡げている彼の頭脳には、今朝立っ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
活の春を齎らすを得ば、其時こそ京王の電鉄も都と田舎を繋ぐ愛の連鎖、温かい血の通う脈管となるを得るであろう。 (大正元年 十一月八日) 暮秋の日 ....
病院の夜明けの物音」より 著者:寺田寅彦
える不思議な雑音や、枕に押しつけた耳に響く律動的なザックザックと物をきざむような脈管の血液の音が、注意すればするほど異常に大きく強く響いてくる。しかしそれはじき....
火薬船」より 著者:海野十三
ければならない部下にたいして、このひどい仕打は、船長ノルマン――いやノルスキーの脈管にながれている残虐性のあらわれであるとおもえた。 友情 船長ノルマン....
学生と教養」より 著者:倉田百三
止まぬ発動である。彼はいった。「ロックや、ヒュームやカントが作りあげた認識主観の脈管には現実赤い血潮が通っているのでなくて、単に思惟活動として、理性の稀薄な液汁....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
口にしたのだった。 しかし、そう云いながら、里虹はぜいぜいと息を切らし、顳※の脈管が、蛇のように膨れ上っているのが見えた。 彼はしばらく硝子戸越しに、外では....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
なければ、柱の震動でもない。僕は、この一点にあると思うのだ」 と白い皮膚の上の脈管を、しげしげと見入りながら、法水はまるで、詩のような言葉を吐いた。 突如起....
駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
続けて今にも暴風雨の来そうな世の状態を語った時には、私の若い燃えるような血潮は、脈管に溢れ渡って、何とも知れず涙の頬に流れるのを覚えなかったが、私の肩にソッと手....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
た、亜麻色の髪……しかも、膝と膝が触れ合って、彼女の身体を流れている温かい血が、脈管へも皮膚へも、息苦しく伝わってきます。夢のように、しいんとした何分かが過ぎ去....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
るローマンチックなことを考えて泣き続けた。 神経が昂進するとともに、彼は自分の脈管の中に血潮の沸騰する音を聞いた。 彼が血潮の沸騰することに気のついた時には....