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「脱俗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

脱俗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
しめて、それ特有の擬神妄想を聴かんと企てたるものなりき。果して、幹枝の高き教養と脱俗の境地に過せし素質は忽ちに自身を天人に擬して、兜羅綿の樹下衆車苑に遊ぶの様を....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
も秀子は罪など犯す質では無く、其の顔容、其の振舞い見れば見るほど清くして殆ど超凡脱俗とも云い度い所がある、此の様な稀世の婦人が何で賤しい罪などを犯す者か。 余....
竹青」より 著者:太宰治
のがれ出る事は出来ません。忍んで、努力を積むだけです。学問も結構ですが、やたらに脱俗を衒うのは卑怯です。もっと、むきになって、この俗世間を愛惜し、愁殺し、一生そ....
如是我聞」より 著者:太宰治
とを笑って聞き容れるほどの大腹人でもないし、また、批評をみじんも気にしないという脱俗人(そんな脱俗人は、古今東西、ひとりもいなかった事を保証する)ではなし、また....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ている代りに、鼻翼の周囲が陥ち窪み、その相はいかにも醜怪で――と云うよりもむしろ脱俗的な、いわゆる胡面梵相とでも云いたい、まるで道釈画か十二神将の中にでもあるよ....
惜別」より 著者:太宰治
あるらしく、お心も高潔のようだし、講義も熱心で含蓄が深いのに、一面に於いてそんな脱俗の風格をお持ちのせいか、クラスの所謂古狸連は、この先生に狎れ、くみし易しとし....
公孫樹」より 著者:豊島与志雄
分に落ち込んでいった。 固よりそれは、父がしそうな事柄ではあった。どこか呑気で脱俗的な而も実利的な父の性格としては、由緒ある公孫樹に足の皮を与えるくらいは何で....
川端柳」より 著者:豊島与志雄
刻のついている杖をついて、白い粗髯をなでる癖のある、普通に云えば剽軽なよく云えば脱俗的な老人である。その老人が、玄関につっ立って、皮肉なような擽ったいような笑顔....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
者らにとっては、おそらくいっそう恐ろしかったろうその光景、それらが彼の心のうちに脱俗|遁世《とんせい》の考えを起こさしたのであろうか。世の変動によってその一身や....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
、自ら俗世をのがれる者は皆吾人には尊むべき者のように思われる。修道院生活は一つの脱俗である。犠牲は誤った道を進もうともやはり犠牲たることは一である。厳酷なる誤謬....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
たからだ。衡吉ははや六十を越えて、その小さな身体と大きな耳、まるい鼻には、どこか脱俗的なところもあり、だいたいが人の良い堂守と思えば間違いはない。 ところが、....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
小刀を前半に帯び端然と膝に手を置いている。肉体枯れて骨立っていたがそれがかえって脱俗して見え、云うに云われぬ威厳があった。部屋には老人一人しかいない。 「ここへ....
勝負師」より 著者:織田作之助
こんどは間違って便所の方へ行ってしまうという放心振りがめずらしくなく、飄々とした脱俗のその風格から、どうしてあの「寄せの花田」の鋭い攻めが出るのかと思われるくら....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
った。その時、大柄ののっぽうの、それでいていつも棗のような顔をして眼の細い、何か脱俗している好々爺が著て来たのがこれであった。 「これはいい、僕が貰っとく。」 ....
俗法師考」より 著者:喜田貞吉
もって特に許可を得なければならぬほどに窮屈なものであった。しかしながら本来が出家脱俗のものである。樹下石上を家となし、一笠一鉢、施主の供養を受けて修行するという....