脱脂綿[語句情報] » 脱脂綿

「脱脂綿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

脱脂綿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
とげとげしくなっていた。で、葉子は後ろを振り向きもせずに、箸《はし》の先につけた脱脂綿《だっしめん》を氷水の中に浸しては、貞世の口をぬぐっていた。 こうやって....
深夜の市長」より 著者:海野十三
婦を督励し、総監の身体を裸にした。右の腋の下を中心に出血はかなり夥しく、消毒した脱脂綿で拭っても、上膊にパクリと明いた傷口から、鮮明な血潮がジクリジクリと、噴き....
麻雀殺人事件」より 著者:海野十三
思います。ピンセットで採取したものについて簡単な試験をしてみましたところ、それは脱脂綿であることが判りました」 帆村探偵の説はあまりに明瞭なので、検事と警部は....
赤外線男」より 著者:海野十三
ール函で、上が硝子になっていた。硝子の窓から内部を覗いてみると、底にはふくよかな脱脂綿の褥があって、その上に茶っぽい硝子|屑のようなものが散らばっている。 「判....
三人の双生児」より 著者:海野十三
のであった。 それが済むと、金田医師は手馴れた調子で屍体をアルコールで拭ったり脱脂綿を詰めたりして一と通りの処置をした。速水女史もクルクル立ち廻ってその辺を片....
わが町」より 著者:織田作之助
な、お邪魔します」 ちいさなモスの風呂敷包みをひらいて、消毒器のなかにはいった脱脂綿をとって、器用な手つきで電話機を消毒し、消毒液入れに消毒液を入れていると、....
浮動する地価」より 著者:黒島伝治
だトシエは、細くなって、晴れやかに笑いながら、仰向に横たわっていた。ボロ切れと、脱脂綿に包まれた子供は、軟かく、細い、黒い髪がはえて、無気味につめたくなっていた....
少年探偵長」より 著者:海野十三
机博士は、戸倉老人の腕に、強心剤の注射を終えると、自分の指先をアルコールのついた脱脂綿で拭って、それからぎゅッとくびを延ばして背のびした。 「ねえ、頭目。もう一....
空襲警報」より 著者:海野十三
、こいつで上から挟みつけて、鼻からは呼吸ができないようにする。こうすれば毒瓦斯は脱脂綿と炭に吸われて口の中には入ってこない」 「なるほど、こいつは考えたね」 「....
勉強記」より 著者:坂口安吾
生は追分の下宿を二室占領して数千巻の書籍と共にくすぶっていたが、朝になると、大概脱脂綿にアルコールをしめして、丁寧に本を拭いていらっしゃる。というのは、最近鞍馬....
貞操問答」より 著者:菊池寛
反り返っているまつ毛の一本一本に、メーヴェリンを塗っている。刷毛でつけた頬紅を、脱脂綿でまたほのぼのとふきとり、上唇の濃いルージュを、下唇に移して、油性のクリー....
映画と音楽」より 著者:伊丹万作
日本ではなかなかそういうわけには行かないから、せめて音楽のアフレコのときには耳に脱脂綿でも詰めていねむりをしているのが、最も良心的とでもいうのであろう。 へた....
」より 著者:佐左木俊郎
仕事を投げ出して飛んで行くのだった。伝平はいつの間にか、幾種類かの薬品や、繃帯や脱脂綿などまで持っているのであった。部落の人達も、馬で困ることがあると、すぐ伝平....
紫外線」より 著者:小酒井不木
たって分かるじゃないか」 俊夫君は傍らにいた看護婦に向かい、 「すみませんが、脱脂綿にアルコールをしませてきてください」 と頼みました。 看護婦がアルコー....
花模様女剣戟」より 著者:小野佐世男
で天然色映画をぶちまけたような色模様。 「アー痛い……そー強くふくなよ」 頬を脱脂綿と薬でふいてもらっている一人の児分、 「失礼ですがニキビでもおつぶしになっ....