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「脹れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

脹れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ある心の風景」より 著者:梶井基次郎
ている。その上に、噛《か》んだ歯がたのようなものが二列《ふたなら》びついている。脹れはだんだんひどくなって行った。それにつれてその痕《あと》はだんだん深く、まわ....
赤外線男」より 著者:海野十三
をテクテク登っていった。 「どうです。何か見付かりましたか」彼は捜査課長の不眠に脹れぼったくなった顔を見ると、斯う声をかけた。 「駄目です」と課長は不機嫌に喚い....
三狂人」より 著者:大阪圭吉
尖端を灯の前へ捻じ向けるようにした。灯に向けられたその拇指は、だがなんと、大きく脹れあがって、軽石のようにコチコチだ。 途端に宇吉が、蝋燭を落した。 不意に....
銀座幽霊」より 著者:大阪圭吉
った。 「じゃア幽霊をお眼に掛けますから、どうぞここへお立ち願います」 警部は脹れ面をして、支配人の云う通り窓際へ立った。いままで、遠慮して遠巻にしていた女給....
自叙伝」より 著者:大杉栄
つも大砲の弾丸に当って死んだんですって。」 母は僕をしっかりと抱きしめて、赤く脹れあがった大きな目からぽろぽろ涙を流して、その手紙の内容をざっと話してくれた。....
食魔」より 著者:岡本かの子
の意見と処法に従ってレントゲンなどかけていたが。癌は一時小さくなって、また前より脹れを増した。とうとう痛みが来るようになった。医者も隠し切れなくなったか肺臓癌が....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
う、どのみち三人の血を見ないまでは、この惨劇は終らんでしょうからな」レヴェズ氏は脹れぼったい瞼を戦かせて、悲しげに云った。「ところが、儂どもには課せられている律....
日本脱出記」より 著者:大杉栄
時々そのユダヤ人等と話ししているのを見ると、その日一日は僕に対してまでも不機嫌な脹れ面をしているのだ。 僕はこのペチカ等のあるものの紹介で、一等にいた一人のロ....
獄中記」より 著者:大杉栄
ただ一人承知のできなかったのは巡査だ。 「貴様は社会主義だな。」 初めから僕に脹れっ面をしていた巡査は、いきなり僕に食ってかかった。 「そうだ、それがどうした....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
でだんだんに濃い紅色になり、やがて黒くなって崩れ出す筈のものであった。墓のなかで脹れあがった唇の皮はところどころに薄い赤い亀裂が出来て、透明な雲母のようにぎらぎ....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
った朝やけが、ちょうどこのようでございましたわねえ」 その時、水平線がみるみる脹れ上がって、美しい暁の息吹が始まった。波は金色のうねりを立てて散光を彼女の顔に....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
「……」 「何処へ行ったか?」 しかし岩太郎は、係長と向合って腰掛けたまま、脹れ面をして牡蠣のように黙っていた。 巡査がまごついて横から口を出した。 「も....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
私を見て、垣に寄添って躊躇している着流しの二人連れがあった。一人はデップリした下脹れの紳士で、一人はゲッソリ頬のこけた学生風であった。容子がドウモ来客らしくない....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
です、先生らには……。「お前の背負って居るものは何か。」「こりゃ喰物だ。」「懐の脹れて居るのは何か。」「これは銀貨だ」といいました。そうするとその男は二人とも私....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
をやって、一日二十四時間に大阪では夜が三度あるもんじゃから、おまえの胴腹ばかりが脹れるんじゃないか! アハ、アハアハアハ」 と言われる。 ガスタンクはそれに....