脾肉[語句情報] »
脾肉
「脾肉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
脾肉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩を返す話」より 著者:菊池寛
いな》には、強い力が溢れている。 国境を守って、松倉家からの注進を聞きながら、
脾肉《ひにく》の嘆《たん》を洩しているうちに、十余日が経った。いよいよ十二月八日....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
て、刻々に報告されてくる戦況に、憂色を増していった。 「立川飛行聯隊では、大分|
脾肉の嘆に、たえかねているようでは、ありませんか」 一人の参謀が、有馬参謀長に....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
おもに旧幕臣または維新以来江戸に居留せし人々に係る、地方土着の士人に至りてはなお
脾肉の疲せたるを慨嘆し、父祖伝来の戎器を貯蔵して時機を俟ちたる、これ当時一般の状....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
無責任」な芸術批評さえが、ないのではなかろうか。で、防共文化の日独協定の方は多少
脾肉の嘆に耐えぬものがあるかも知れぬ。 (一九三六) 16 日本主義の文学化 ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
駒木根|颪《おろし》と岩を噛む大洋の怒濤とに育てあげられた少壮血気の士、いささか
脾肉《ひにく》の嘆にくれていたところへ、生まれてはじめての華やかな舞台へ乗り出し....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
は泰平。
男の出世の途は、すっかりふさがってしまっている。
腕のあるやつは、
脾肉《ひにく》の嘆に堪えないし、腕もなんにもない当世武士は、ちょいとした男前だけ....
「悪夢」より 著者:豊島与志雄
私は時々、変梃な気持になることがある。
脾肉の歎に堪えないと云ったような、むずむずした凶悪な風が、心の底から吹き起ってく....
「条件反射」より 著者:豊島与志雄
は、議場心理を知らない痴人の夢想だ。誰でもあの議席についたら、腕がむずむずして、
脾肉の歎を感ずるのが当然だ。」 議会にそういう条件がいつ構成されたかは不明だが....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
人ばかりの果し合いに、今も白刃を構えている、親分の命で手出しが出来ない、謂う所の
脾肉の嘆! それを喞っていた折柄であった。切り合う相手が現われた。理非曲直は二の....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
朝鮮の釜山に着いた。 馴れぬ風土の寒風はひとしおさすらいの身に沁み渡り、うたた
脾肉の歎に耐えないのであったが、これも身から出た錆と思えば、落魄の身の誰を怨まん....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
夜にはいっていっそうはげしくなった。 あらしは翌日も勢いはおとろえない。一同は
脾肉の嘆を発して腕をさすった。 十七日の明け方からさしもの豪雨もようやく小降り....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
丸を発明しこれを使用してしばしば戦功を現わせしが、戦後その身の閑なるがために所謂
脾肉の嘆に堪えず、折柄渡来したる日本人に対し、もしも日本政府にて余を雇入れ彼の若....
「ローマ法王と外交」より 著者:国枝史郎
に流行した騎士道に心酔し、兎もすると法権を侵す態の行動をし英気を他に洩らす術なき
脾肉の嘆をかこっていたのを認め、この十字軍の挙によってその英気を宗教戦に洩らさせ....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
みかぜ》が吹きつけ、思わずうっとりとなる。どうも、これは退屈だ。 鮎子さんが、
脾肉《ひにく》の歎《たん》をもらす。 「つまらない、誰かやって来ないかな」 す....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
度毎に自分の経済的手腕の実は余り頼りにならないのを内心|危なッかしく思いながらも
脾肉に堪えられなかった。その度毎に独語して「金儲け、金儲け!」と呟きつつ金儲け専....