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腐り
「腐り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
腐りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
一年もたたないうちに、葉子が命も名もささげてかかった新しい生活は見る見る土台から
腐り出して、もう今は一陣の風さえ吹けば、さしもの高楼ももんどり打って地上にくずれ....
「星座」より 著者:有島武郎
ことだった。
わざとらしい咳払《せきばら》いを先立てて襖《ふすま》を開き、畳が
腐りはしないかと思われるほど常住坐《じょうじゅうすわ》りっきりなその座になおると....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
香奠がえしの配歩行き、秋の夜番、冬は雪|掻の手伝いなどした親仁が住んだ……半ば立
腐りの長屋建て、掘立小屋という体なのが一棟ある。 町中が、杢若をそこへ入れて、....
「転機」より 著者:伊藤野枝
た。橋の手前に壊れかかったというよりは拾い集めた板切れで建てたような小屋がある。
腐りかけたような蜜柑や、みじめな駄菓子などを並べたその店先きで、私はまた尋ねた。....
「空襲警報」より 著者:海野十三
穴からイペリットが染みこんで、足の裏が火ぶくれになる。ひどければ、そこから身体が
腐り出して死んじまう。そうなるのも、元は何から起ったことだといえば、非常管制のと....
「東京要塞」より 著者:海野十三
を忘れて狂奔したが、敵もさる者で、なかなか尻尾をつかませない。流石の帆村も、ちと
腐り気味でいたところ、ふと彼の注意を惹いたデマ罰金事件があった。 それは警察署....
「蠅男」より 著者:海野十三
所とかストーブとかいう見当を確かめてみい」 勇敢なる巡査部長は、先頭に立って、
腐りかかった鎧戸を押して、薄暗い内部にとび下りた。一行は、最初の警官を窓のところ....
「人造人間殺害事件」より 著者:海野十三
て、むしろ快い楽園《らくえん》であった。焼け鉄の酸《す》っぱい匂いにも、機械油の
腐りかかった悪臭にも、僕は甘美《かんび》な興奮を唆《そそ》られるのであった。特務....
「河明り」より 著者:岡本かの子
河の上は漸く船の往来も繁くなった。 「あんまりこんな所に引込んでいると、なお気が
腐りますからね。きょうは、何処か外へ出て、気をさっぱりさせてから、本当にご相談し....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
しから人間の中にある大きな慾望のいくつかが、常識の厚い層の堆積に堪えられず、遂に
腐り果ててしまったことだろう。私は慧鶴のこの疑いを惜しいことのようにも思う。僅か....
「虎」より 著者:岡本綺堂
を一軒でさらった勢いで、由兵衛も大いに喜んでいると、三日ばかりの後には肝腎の鯨が
腐りはじめた。 むかしの四月なかばだから、今日の五月中旬で陽気はそろそろ暑くな....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
は市川右団次、市川権十郎なども出勤していたのであるが、とかくに景気が悪くて小屋も
腐りかかったところへ、かの鳥熊が乗込んで来たのである。一座の俳優は市川福之丞、市....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
れている。おまけに、澱《よど》みきった新鮮でない熱気に蒸したてられるので、花粉は
腐り、葉や幹は朽ち液化していって、当然そこから発酵してくるものには、小動物や昆虫....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ちょうど正午ごろに、大きな野象らしい足跡にぶつかった。つぶれた棘茎や葉が泥水に
腐り、その池のような溜りが珈琲色をしている。しかし、そこから先は倒木もあって、わ....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
だが、ここでは、それが最近塞がってしまったらしい。そのため、澱んだ水が高温のため
腐り、どろどろの海草や腔腸動物の屍体が、なんとも云えぬ色で一面に覆うているのだ。....