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「腕車〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

腕車の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
外科室」より 著者:泉鏡花
せしむることを余儀なくしたり。 その日午前九時過ぐるころ家を出《い》でて病院に腕車《わんしゃ》を飛ばしつ。直ちに外科室の方《かた》に赴《おもむ》くとき、むこう....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
《やっこ》はその門前に鈴を打ち振りつつ、 「馬車はいかがです。むちゃに廉くって、腕車《くるま》よりお疾《はよ》うござい。さあお乗んなさい。すぐに出ますよ」 甲....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
ささぬ柳の葉に、ふわふわと柔《やわらか》い風が懸る。……その柳の下を、駈けて通る腕車《くるま》も見えず、人通りはちらほらと、都で言えば朧夜《おぼろよ》を浮れ出し....
婦系図」より 著者:泉鏡花
昨日、母様がここへ訪ねて来たろう。帰りがけに、飯田町から見附を出ようとする処で、腕車を飛ばして来た、母衣の中のがそれだッたって、矢車の花を。」 と言いかけて、....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
そこで、そのお嬢様に御本家の部屋を、幾つか分けて、貸すことになりましけ。ある晩、腕車でお乗込み、天上ぬけに美い、と評判ばかりで、私等ついぞお姿も見ませなんだが、....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
の間ほど、苦労のなかった時はないよ。 すると、その夏の初の頃、戸外にがらがらと腕車が留って、入って来た男があったの。沓脱に突立ってて、案内もしないから、寝かし....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
に連りて、一方の口は行留りとなりたれば、往来少なかりき。 朝より夕に至るまで、腕車、地車など一輌も過ぎるはあらず。美しき妾、富みたる寡婦、おとなしき女の童など....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
遊ばして、可うござります、翌日は暗い内から婆々が店頭に張番をして、芸妓さんとでも腕車で通って御覧じゃい、お望の蛸の足を放りつけて上げますに。」と煙草を下へ、手で....
黒百合」より 著者:泉鏡花
まい。前年その長屋の表町に道普請があって、向側へ砂利を装上げたから、この町を通る腕車荷車は不残路地口の際を曳いて通ることがあった。雨が続いて泥濘になったのを見澄....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
かるる。 「梅雨あけに、医師と、この骨さ拾いに来っけ。そんころの雨に緩んだだね。腕車もはい、持立てるようにしてここまでは曳いて来ただが、前あ挺でも動きましねえで....
誓之巻」より 著者:泉鏡花
に目をおさましなすッてから私がよくそういって、落着かしてからお逢いなさいましよ。腕車やら、汽車やらで、新さん、あなたもお疲れだろうに、すぐこんなことを聞かせまし....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
って、前後を※して、ぼんやりする。 がらがらと通ったのは三台ばかりの威勢の可い腕車、中に合乗が一台。 「ええ、驚かしゃあがるな。」と年紀には肖ない口を利いて、....
三枚続」より 著者:泉鏡花
るッさ、場末の荒物屋と一所にされて耐るもんか、途方もない。」 「何でも、馬車だの腕車だのが門に込合ってるッて謂いますね。」 「そうだろうとも。」 「何だか知らね....
式部小路」より 著者:泉鏡花
も道理こそ。 向うに見える、庭口から巣鴨の通へ出ようとする枝折門に、曳きつけた腕車の傍に、栗梅のお召縮緬の吾妻コオトを着て……いや、着ながらでさ、……立ってい....
註文帳」より 著者:泉鏡花
。」と謂うだけのことを謂って、作平は早や腰を延そうとする。 トタンにがらがらと腕車が一台、目の前へ顕れて、人通の中を曵いて通る時、地響がして土間ぐるみ五助の体....