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膏
「膏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
膏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
が軽い。 途端に引込めた、年紀の若い半纏着の手ッ首を、即座の冷汗と取って置きの
膏汗で、ぬらめいた手で、夢中にしっかと引掴んだ。 道学先生の徳孤ならず、隣りに....
「悠々荘」より 著者:芥川竜之介
一棟あった。納屋の中にはストオヴが一つ、西洋風の机が一つ、それから頭や腕のない石
膏の女人像が一つあった。殊にその女人像は一面に埃におおわれたまま、ストオヴの前に....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
かったためかもしれない。また平生見かける相撲が――髪を藁束ねにした褌かつぎが相撲
膏を貼っていたためかもしれない。 一九 宇治紫山 僕の一家は宇治紫山....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
で……お紫と云うがほんとうに紫……などというでしゅ、その娘が、その声で。……淡い
膏も、白粉も、娘の匂いそのままで、膚ざわりのただ粗い、岩に脱いだ白足袋の裡に潜っ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
あわれや宗山。見る内に、額にたらたらと衝と汗を流し、死声を振絞ると、頤から胸へ
膏を絞った……あのその大きな唇が海鼠を干したように乾いて来て、舌が硬って呼吸が発....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ものを、やけな御辞退で、何だかね、南蛮秘法の痲痺薬……あの、それ、何とか伝三熊の
膏薬とか言う三題|噺を逆に行ったような工合で、旦那方のお酒に毒でもありそうな様子....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
れにばかりは、露のようなよだれを垂し、 「牛肉のひれや、人間の娘より、柔々として
膏が滴る……甘味ぞのッ。」 は凄じい。 が、かく菌を嗜むせいだろうと人は言っ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
を掻交ぜ、掻交ぜ、片襷で練上げた、東海の鯤鯨をも吸寄すべき、恐るべき、どろどろの
膏薬の、おはぐろ溝へ、黄袋の唾をしたような異味を、べろりべろり、と嘗めては、ちび....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
庁に勤めた頃、一切猟具を用いず、むずと羽掻をしめて、年紀は娘にしていい、甘温、脆
膏、胸白のこの鴨を貪食した果報ものである、と聞く。が、いささか果報焼けの気味で内....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
…」 僕はふと口を噤み、鏡の中に彼の後ろ姿を見つめた。彼は丁度耳の下に黄いろい
膏薬を貼りつけていた。 「何人もの接吻の為に?」 「そんな人のように思いますがね....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
へやにかえってさっそくにしたことは、首にひとつ、背中にひとつ、大きなスペイン発泡
膏をはることでした。これでからだのなかの気ちがいじみた毒気を吸いとろうというわけ....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
… 花田 死骸になってここにはいる奴はこれだ。(といいながら、壁にかけられた石
膏面を指さす)こいつに絵の具を塗っておまえの選んだ男の代わりに入れればいいんだよ....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
一人の女が金切声を揚げると、 「水がある!」 と言うなりに、こめかみの処へ頭痛
膏を貼った顔を掉って、年増が真先に飛込むと、たちまち、崩れたように列が乱れて、ば....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
きにここで休んだ時――一足おくれて、金沢の城下の方から、女たち七人ばかりを、頭痛
膏を貼った邪慳らしい大年増と、でっくり肥った
膏親爺と、軽薄らしい若いものと、誰が....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
からず」との結論に達したのであった。勿論あの国土厖大な支那、しかも歴史は古く、病
膏肓に入った漢民族の革命がしかく短日月に行なわれないのは当然であり、私どもの判断....