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膚寒い
「膚寒い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
膚寒いの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
合子の許に届いたばかりでありました。 十月の声を聞くと、満天下の秋は音信れて、
膚寒い風が吹き初めました。赤耀館の庭のあちこちにある楓の樹も、だんだん真赤に紅葉....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
て、家の息子に道を教わって、甲州街道の方へ往った。
晩秋の日は甲州の山に傾き、
膚寒い武蔵野の夕風がさ/\尾花を揺する野路を、夫婦は疲れ足曳きずって甲州街道を指....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
の階下座敷《したざしき》、ちょうど梯子段の裏にあたって、七月とはいえ、山の夜気は
膚寒いのに、ぱらりと障子を取り払った大一座だ。 七、八人の、人相風体のよくない....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
刀身にあかず見入っている。霜をとかした流水がそのまま凝《こ》ったような、見るだに
膚寒い利刃《りじん》である。刀を持った鉄斎の手がかすかに動くごとに、行燈の映《う....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
わないわ」 ウットリと甘い夢を見ているようだ。青木は夜気が一そう身にしむような
膚寒い思いがした。肚の中で、こまった子供だと舌打ちした。 「京都は落付いた町です....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
び、それから急に足を早めた。 ちらほら咲き出していた菜種の花が、うす日をうけて
膚寒い春風の中にそよいでいた。次郎にはいやにそれが淋しかった。二里あまりの道を、....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
母さんが大事にかくしていた羊羹の折箱を盗み出して、下駄でふみにじった時の記憶が、
膚寒いほどの思いで蘇って来た。彼は、もう仰向けにねていることさえ出来ず、空洞の奥....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
深く背中に突立てられたまま胸の上にがッくりと頭を落している。 唐館の中は夏でも
膚寒いほどの涼しさだが、殺されてから余程時日が経つと見え、肉はすッかり腐り切って....