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「膠着〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

膠着の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
な気の弱い精力の足りない男に過ぎなかった。筆一本握る事もせずに朝から晩まで葉子に膠着《こうちゃく》し、感傷的なくせに恐ろしくわがままで、今日《こんにち》今日の生....
或る女」より 著者:有島武郎
まで残っていた。しかしその花べんは存分に霜にしいたげられて、黄色に変色して互いに膠着《こうちゃく》して、恵み深い日の目にあっても開きようがなくなっていた。そんな....
火の鳥」より 著者:太宰治
のだ、と冷くひとり首肯した。おのれの生涯の不幸が、相かわらず鉄のようにぶあいそに膠着《こうちゃく》している状態を目撃して、あたしは、いつも、こうなんだ、と自分な....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
まった。 「失礼します」と多鶴子はそう言って、豹一の向い側に腰をおろした。微笑の膠着したその顔は明かに、豹一の質問を催促していた。 (いよいよ喋らねばならない!....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
暮しの中に、一日でも安きを偸もうとしているのだ。これが社会生活に強い惰性となって膠着している。そういう生活態度に適応する為めには、お前のような行き方は大変に都合....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ス特に炭水化合物や酸化炭素の一部が凝縮する、そうして滴粒が互いに衝突するとそれが膠着してしまう。このようにして滴粒から次第に隕石に成長し、そうして空間中の旅を続....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
彼等は、みな、灰黄色の、土のような顔になっていた。燐寸の自然発火と、外函の両側に膠着された硝子粉のため、焼き爛らした指頭には、黒い垢じみた繃帯を巻いていた。 ....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
ようなかたが一人でもいて来客の肩の後ろで厳粛な顔をしていられると自分の口は自然に膠着してしまって物が言えなくなる。 こうした監察官も日本の名誉のために必要かも....
映画雑感(Ⅲ)」より 著者:寺田寅彦
描写である。鼻の頭にくっついたのを吹き飛ばそうとするところは少し人間臭いが、尻に膠着したのを取ろうとしてきりきり舞いをするあたりなど実におもしろい。それがおもし....
学問の自由」より 著者:寺田寅彦
にはあるようであり、一方ではまた、最も自由な大海に住みながら、求めて一塊の岩礁に膠着して常に不自由を喞つ人も稀にはあることはあるように思われる。これも理窟ではな....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
った。 異常な関心を、一人の男に持ちつづけてきたことが、今になってみると、ただ膠着という結果よりほかにないのだった。最初抱いていた、あの熾烈な憎悪も、近頃では....
少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
っ! ボートだ!」 とイルコックがさけんだ。 指さす左のほうに、右舷を砂浜に膠着さして、一せきのボートがうちあげられているのが、かすかにそれと見える。 「あ....
書籍の風俗」より 著者:恩地孝四郎
気取った場合はアンカットのも少なくない。表紙と中味の連絡は、中身の縢り糸で表紙に膠着され、その上を見返し紙が抑える。ぞんざいなのは背と峰に貼付けただけのもある。....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
ですかな。あるいは、あなた方、先生の教えは、芸に熱して、男女間は淡泊、その濃密|膠着でなく、あっさりという方針ででもおあんなさるか、一度内々で、と思った折でもあ....
良寛様の書」より 著者:北大路魯山人
の異変的開きがあって縦横自在の変化を見せて、かりそめにも一つや二つのよりどころに膠着するところがない。 恐れ多い話ではあるが、書道においても一世の卓抜的大家で....