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臨月
「臨月〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
臨月の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
すざくもん》に待っていて、もらう事にしようよ。」
「そう言えば、阿濃も、かれこれ
臨月だったな。」
太郎はまた、あざけるように口をゆがめた。それとほとんど同時に....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
とした。 莫邪の作った剣は雌雄一対であった。その出来たときに莫邪の妻は懐妊して
臨月に近かったので、彼は妻に言い聞かせた。 「わたしの剣の出来あがるのが遅かった....
「私の父」より 著者:堺利彦
の嫁嬢を呼んで来た。嫁嬢は大喜びで散々食べて行った。ところが、その嫁嬢、ちょうど
臨月であったのだが、その晩、急に産気がついた。サア私の内では大心配をした。西瓜が....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
依然として人工重力装置が働いている。 もうかなり日数が経った。イレネはいよいよ
臨月にはいった。さすがに日頃元気な彼女も、ものうそうに、通路や部屋の壁を伝い歩い....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
、長屋の井戸の屋根が腐っていたため、踏み外ずして落ち込んでしまった。その時彼女は
臨月だった。 そのもの音に驚いた車屋のAが寒いのに飛び出して、つるべによって助....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
、お前様。見えて半月とも経ちませぬに、豪い騒動が起ったのは、喜太郎様の嫁御がまた
臨月じゃ。 御本家に飼殺しの親爺仁右衛門、渾名も苦虫、むずかしい顔をして、御隠....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
生、こんなに疾くから旦那が来ている。博士の、静粛な白銀の林の中なる白鷺の貴婦人の
臨月の観察に、ズトン! は大禁物であるから、睨まれては事こわしだ。一旦破寺――西....
「経帷子の秘密」より 著者:岡本綺堂
、まだ見ぬ孫の息災延命をひたすらに願った。 明くれば文久二年、その九月はお妻の
臨月にあたるので、お峰は神仏に日参をはじめた。由兵衛も釣り込まれて神まいりを始め....
「多神教」より 著者:泉鏡花
つ橋げたさ、すれすれの鉄橋を伝ってよ、いや、四つ這いでよ。何が、いま産れるちゅう
臨月腹で、なあ、流に浸りそうに捌き髪で這うて渡った。その大な腹ずらえ、――夜がえ....
「怪談綺談」より 著者:小酒井不木
示す例は日本にも尠くないが、西洋にはかなりに豊富にある。 アメリカに、ある若い
臨月の女があった。三月五日に、余程以前に亡くなった父の夢を見た。その時父は手に大....
「平ヶ岳登攀記」より 著者:高頭仁兵衛
うことになった、白井が養蚕所へ談じて養蚕所では承諾してくれたが、大久保某の妻君が
臨月なので、妻君の方から不服が出たとやらで、大久保某は案内が出来ぬことになって、....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
原の事ばかり案じて、若草は何うして居るか、九月が腹帯だと云ったから、来年の二月は
臨月だが、首尾|好く赤ん坊が産れるか、まだ己の此処に押込められてる事は知るまい、....
「俗臭」より 著者:織田作之助
、政江を恨んでいるのだった。外にも恨む理由はある。が目下は専らそれだ。その嫁が今
臨月で今日は来ていないということも酒の味に関係がある。三亀雄の妻は先刻一寸顔を出....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
年)に 高島郡産所村。(上略)夫れ諸国に産所村あるは、往古神道盛にして、懐胎の女
臨月に及びて此の産所村に入りて、産後七十五日の汚穢を除き、本の村に還住す。故に自....
「数の子は音を食うもの」より 著者:北大路魯山人
味のあるようなものがあるが、それは卵が胎中において成熟していないのである。言わば
臨月間際のものでなくて、妊娠五カ月六カ月程度の未熟なものである。このような成熟し....