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「自ずと〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

自ずとの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
深夜の市長」より 著者:海野十三
をひき緊めたのでもあろうか。それともいまだ経験したこともない盗賊のような振舞に、自ずと胆が据わってきたのでもあろうか。 窓にブラインドが下りたのを確かめた上、....
食魔」より 著者:岡本かの子
。それは努めてしたのではないが、人の嗜慾に対し間諜犬のような嗅覚を持つ彼の本能は自ずと働いていた。夫人の食品の好みは専門的に見て、素人なのだか玄人なのだか判らな....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
、いまも底には随分|辛いものをも潜めているのではあるまいか。そういう悲哀の数々が自ずと泌み出るので、たとえ、縦横に振舞い、闊達に処理するようでも、人の反感を買わ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
泣き悲しむ母の音声までも響いて来るのでございます。あの時分のことは今想い出しても自ずと涙がこぼれます……。 斯う言った親子の情愛などと申すものは、いつまで経っ....
活動写真」より 著者:淡島寒月
後まで見てしまう方がかえって興味があるように思われる。数十巻連続物などになると、自ずと筋の上にも場面の上にも同じようなものが出来て、その結局はどれもこれも芽出た....
落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
があるのだ。とにかく今月中に起る一つの事件によってですね、あんたは、今迄の方針が自ずと変られると思います」 「どんな変動かわかりませんの」 「それは予言出来ます....
不周山」より 著者:井上紅梅
全身を鉄片で包み、顔色には失望と恐怖が表れている。 「今のは何ごとだね?」彼女は自ずとそう訊くのであった。 「ああ、天は喪を降されました」その一つがいとも悲しそ....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
抜け、○○町まで行き、そこで認めた異形の人数をどこまでもつけていらっしゃいまし。自ずとわかるでございましょう」 それは女の声であった。 (おや?) と新八郎....
二階から」より 著者:岡本綺堂
の番銭の詐欺の流行るのも此頃です。しかし風のない晴れた日には、御堀の堤の松の梢が自ずと霞んで、英国大使館の旗竿の上に鳶が悠然と止まっているのも此頃です。 まだ....
源之助の一生」より 著者:岡本綺堂
が、とかく一つ所に落付かないで、浅草公園の宮戸座等にもしばしば出勤していたので、自ずと自分の箔を落してなんだか大歌舞伎の俳優ではないように認められるようになった....
三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
れなかったらしい。 Yはその後も度々故郷へ行ったり上京したりしたが、傷持つ足の自ずと閾が高くなって、いつも手紙をよこすだけでそれぎり私の家へは寄り附かなくなっ....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
く現れておる。ツマリ『其面影』の時は「文人でない」といいつつも久しぶりでの試みに自ずと筆が固くなって、余りに細部の雕琢にコセコセしたのが意外の累いをした。が、『....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
眼も醒めるような明るい朝の景色は、彼に前途の光明を示すようにも見えたので、市郎は自ずと心が勇まれた。 例の樅林の落葉を踏んで行くと、漸次に山路へ差蒐る。岩は俄....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
詩賦に魅せられ、それを真似うるようになるためには、そのような文化的感応と欲求とが自ずと内から生れてくるくらいに、生活そのものが成熟する時を待たねばならなかった。....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
る力というものにも、前の医者の話と同じ道理があるようです。自分で力み出す力には、自ずと限度があります。いくら眠らずに働こうとしても三、四晩以上の徹夜は不可能です....