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「自在鉤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

自在鉤の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
捕れたらしい。いわゆる恐ろしい「熊吹雪」である。 杉右衛門はじっと考えている。自在鉤には薬缶が掛かり薬缶の下では火が燃えている。 もう夕暮れに近かった。部屋....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、その左に角行燈《かくあんどん》がありますけれど、それには火が入っておりません。自在鉤《じざいかぎ》には籠目形《かごめがた》の鉄瓶がずっしりと重く、その下で木の....
放生津物語」より 著者:田中貢太郎
高い雨戸もきちんと締るようになった家であった。為作は源吉を囲炉裏の傍へ坐らして、自在鉤にかけてある鍋の中から夕飯を盛って喫わした。為作は徳利の酒を注いで飲みだし....
怪しき旅僧」より 著者:田中貢太郎
ふらと歩くように旅僧の傍へ来た。 で、旅僧は其の鍋の中へ米と水を入れて、地炉の自在鉤にかけた後で左右の足を踏み延ばして、それを炉縁に当て何時の間にか傍に来てい....
死人の手」より 著者:田中貢太郎
。 旅人は草鞋を解いて、簀子を敷いた縁側を跨いて地炉の傍へあがりました。主人は自在鉤につるして火の上にかけてあった茶釜から、茶を汲んでくれました。旅人は茶碗を....
猿ヶ京片耳伝説」より 著者:国枝史郎
、黒檀のように黒く艶を出しているのでも頷かれた。 板敷には囲炉裡が切ってあり、自在鉤にかけられてある薬罐からは、湯気が立っていた。炉を囲んでいるのは五人の湯治....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ついた分銅を垂している、古風な時計などが掛けられているのだから、もしそこに石炉や自在鉤や紡車が置かれてあったり、煤けた天井に、腹を開いた燻製の魚などが吊されてい....
鬼退治」より 著者:下村千秋
かびくさかった。勘太郎は土間の上がり框のところにある囲炉裏の所へ行ってみた。と、自在鉤の掛かっている下には、つい昨夜焚火をしたばかりのように新しい灰が積もり、木....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
なりたいなどと――。」 親子三人は、声を合わせて笑ったが、久住は、苦渋な顔で、自在鉤《じざいかぎ》の鉄瓶から、徳利を掴み出して、じぶんで注いだ。 明朝早く出....
手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
を待ちます。探しますと様々なものが現れます。山形の町には鍛冶屋も多く、鉄製のよい自在鉤を作るのを見かけるでしょう。 町からそう遠くない所に、平清水の窯場を訪ね....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
黙ってしまった。そして彼の姿を、いぶかしげに見まもった。 土間の真ン中に大きな自在鉤が懸っている。土足のまま囲めるように炉は土へ掘ってあり、鍋には、猪の肉と大....
野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
伊豆賀茂)、地獄の釣鉤(駿河|庵原)、地獄の鉤つるし(同|志太)、あるいは地獄の自在鉤(大隅肝属)などの名も各地にあって、地底の国の炉の鉤の紐だなどと、困りなが....
年中行事覚書」より 著者:柳田国男
あるき、 よが蚊に負けな、蛇百足にまけな と唱えつつ、自由にどこの家にも入って、自在鉤のあたりまでも燻しまわったからで、ヨガとは日中のカすなわち蚋に対して、夜の....
大岡越前」より 著者:吉川英治
そこでよければ、寝てゆきねえ」 と、炉の掘ってある土間の隅を指さした。炉には、自在鉤に大|薬缶が懸けてあり、隅の空箱の上には、さん俵が敷いてある。 「おお、暖....