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「自己保存〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

自己保存の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
。世の封建的な親達が娘の配偶者の条件に、家柄、財産、学歴を考えるのとほとんど同じ自己保存の本能から、貴子は男の条件をパトロンとしての資格で考える女だった。そして....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
利的な、物質的な、外面的な立場からのみ考察されてはいなかったろうか。即ち生物学の自己保存の原則を極めて安価に査定して、それを愛己の本能と結び付けたものではなかっ....
死生」より 著者:幸徳秋水
悲みもない、惨なるは寧ろ生別に在ると私も思う。 成程人間、否な総ての生物には、自己保存の本能がある、栄養である、生活である、之に依れば人は何処までも死を避け死....
もの思う葦」より 著者:太宰治
懸念、牢屋への憎悪、そんなものを人は良心の呵責と呼んで落ちついているようである。自己保存の本能なら、馬車馬にも番犬にもある。けれども、こんな日常倫理のうえの判り....
道徳の観念」より 著者:戸坂潤
する闘い」である。各個人はその自然状態に於ては、キリスト教的伝統観念とは反対に、自己保存と自己増殖との欲望によって動かされる野獣か狼に他ならない。こうして各個人....
死刑の前」より 著者:幸徳秋水
しろ、生別にあると、わたくしも思う。 なるほど、人間、いな、すべての生物には、自己保存の本能がある。栄養である。生活である。これによれば、人はどこまでも死をさ....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
んぐりした塔が水気にぼやけていた。橋には大きな釘の頭が赤く錆びて、欄干は、人間の自己保存の本能を語って訪問者の記念のナイフのあとを一ぱい見せていた。 G・H・....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ら憤った。しかしその悲しみは、きわめて残虐なものだったので、愛欲よりもずっと強い自己保存の本能に強《し》いられて、彼はそれから眼をそらし、あたかも水におぼれた絶....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
呼び起こした。不断の反動的な感情――強健な性質の人にあっては、生の一本能であり、自己保存の本能であり、危《あぶな》い場合に平衡を立て直して船を新たに躍進せしむる....
戦後新人論」より 著者:坂口安吾
日本棋院で、現代の妖怪変幻のようなものだ。 しかし、新風を怖れる保守思想とか、自己保存思想というものは、特に芸能界に於ては、どこでも見られるものである。それが....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
知らない魂が、その義理人情にも見放されたことに対する咒咀と、益々依怙地な敵意と、自己保存慾があるだけのことである。 こういう女でも、男に愛される資格はある。青....
夜の構図」より 著者:織田作之助
の月並み平凡なことを毛嫌いしていた。石橋を敲いて渡る主義、処世術常識、プチブルの自己保存の本能、貯蓄、無駄を怖れる精神、――すべて軽蔑していた。信吉の意に適って....
断食芸人」より 著者:カフカフランツ
うしてかわからないがとまっているかのようだった。身体は空っぽになっていた。両脚は自己保存の本能によって膝のところでぴったり合わさっていたが、地面をまるでほんとう....
鰻の話」より 著者:北大路魯山人
にしてみれば、食を得るための移動なのである。南へ行かねば彼らのくらしがたたない。自己保存のために餌を求めて移動することは、つばめのみならず、動物の本能といってよ....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
きにおいて成し遂げた目覚めであり、反射的行動への観照の君臨である。この世において自己保存の本能にしたがうことを封じ込めなければならなかった心の命令である。 こ....