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至らぬ
「至らぬ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
至らぬの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
ただ買い取って放してやるだけに、武士《ぶし》が大切の刀を売るとは、あまりに分別が
至らぬように思わるるぞ。なさけも善根《ぜんこん》も銘々の力に能《あた》うかぎりで....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
話をしたかったのだ。民子は勿論のこと、僕よりも一層話したかったに相違ないが、年の
至らぬのと浮いた心のない二人は、なかなか差向いでそんな話は出来なかった。しばらく....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
ば、一日や二日の雨の為に、この町中へ水を湛うるような事は無いのである。人事僅かに
至らぬところあるが為に、幾百千の人が、一通りならぬ苦しみをすることを思うと、かく....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
えなどしてどうかすると午前か午後かを忘れる事がある。まだ熱さに苦しむというほどに
至らぬ若葉の頃は、物参りには最も愉快な時である。三人一緒になってから、おとよも省....
「骨董」より 著者:幸田露伴
あって、骨董は誠に貴ぶべし、骨董好きになるのはむしろ誇るべし、骨董を捻くる度にも
至らぬ人間は犬猫牛豚同様、誠にハヤ未発達の愍むべきものであるといってもよいのであ....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
いうのではなく、もっと具体的な気持があるのである。この種のものには、「天地に少し
至らぬ丈夫と思ひし吾や雄心もなき」(巻十二・二八七五)、「大地も採らば尽きめど世....
「頭髪の故事」より 著者:井上紅梅
しかしここらの人達は一体何を与えられたか。 おお、造物の皮鞭が中国の脊髄の上に
至らぬ時、中国はすなわちとこしえにこの一様の中国である。それ自身は決して一枝毫末....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
かったのである。人の文章を読むのはむずかしい。よく読んだつもりでいても、まだまだ
至らぬところがあるものである。 鶴見はまた思った。その静寂の奥深さは分っている....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
」 「いかにもそれは気の毒と存じるので、内々その方の耳に入れて置く。そこまでに立
至らぬ前に、何とか好きように致したらどうじゃ。これは拙者がホンの好意からの注意」....
「人工心臓」より 著者:小酒井不木
ません。数多い病気のうち、薬剤を以て特効的に治療し得るものは片手の指を屈し尽すに
至らぬほどの少数で、その他は、ただ、いわば気休めに薬剤を与えて自然に治療するのを....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
る。足下に流るる水を筆洗に汲んで鼠色の雲を画き浅緑の岩を画く。傅彩画面の半ばにも
至らぬころ、ポツリポツリと雨は落ちて来て、手にせるパレットの紅を散らし紫を溶かす....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
日の本に匂ふ旭日はヒマラヤの
峰を照せる光なりけり
仏日の光輝は
至らぬ隈なく宇宙に遍満して居りますから、いずれの世界に行っても修行の出来ぬ道場は....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
宝のためには、吝な埒になる。
空想を馳せられるだけ馳せさせて、
努力を尽しても、
至らぬ勝である。
しかし深く物を察することの出来る達人は、
無際限なるものに無限....
「空晴れて」より 著者:小川未明
の中に身体髪膚受之父母。不敢毀傷孝之始也。と、いってあった。 彼は、自分の未だ
至らぬのを心の中で、悔いたのでありました。....
「特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
を払われているのは無論必要ではありますが、特殊部落以外に於いて、未だ部落を成すに
至らぬ浮浪民の随分あることも注意せねばなりませぬ。彼らの中には罪を犯して逃亡した....