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「至福〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

至福の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
的なわけでしょう? 但、私の神秘さはヒステリーの全くの消失という、良人にとっての至福となって現れます。 十月十九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の身体を寝台の上に運んだ。子供たちの室は閉《し》め切ってあった。アントアネットは至福者のように眠っていた。オリヴィエは人声や足音を聞き伝えた。何事か知りたかった....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
の手は、牧師の指輪をはめて寝台の外にたれていた。その全体の顔付きは、満足と希望と至福との漠然たる表情に輝いていた。それは微笑《ほほえ》み以上のものでほとんど光輝....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ダムのうちにはいってマルクス・アウレリウスを製造しなければならない。換言すれば、至福の人間から知恵の人間を生まれさせなければならない。エデンの園をリセオムの園に....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
それはまさしく一つの増加である。しかしこの世において愛が人の魂に与える得も言えぬ至福に、更にその強さを増さしむることは、たとい神にも不可能である。神は天の十全で....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
もないことだった。コゼットとマリユスはもう幸福の影しか頭に映らないような利己的な至福な瞬間にあった。それにまたジルノルマン氏は妙案を思いついた。「ところでその肱....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
て来た。…… 長い間、身動きせず、無言のまま寄り添って、二人は立っている。 再び至福の太陽が雲間から、輝き出た! 雨に濡れて、あたりは金色に輝くごとく…… 見よ....
環礁」より 著者:中島敦
おぼ》ろな影を残しているに過ぎない。 では、自分が旅立つ前に期待していた南方の至福とは、これなのだろうか? この昼寝の目醒めの快さ、珊瑚屑の上での静かな忘却と....
かもじの美術家」より 著者:神西清
一八六一年二月十九日なる農奴解放 の佳き日の聖なる記念に かれらの魂は至福のうちに休らう。 ――埋葬の歌―― ※ わが国で「美術家」とい....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
ンシスの大文章、高い智慧に満ちた弁論を聞きながら、純粋な文体の美しさに陶然とする至福の境地に、引き込まれ、思わず息をのむのだった。ルネサンスの嫡子としての彼の複....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ての善は、われ知らずにこれを行じてゆき、すべての悪は、われ知らずに離れ去ってゆく至福至妙の状態であります。この心境を説明するのに、人間の言葉に詰って「極楽世界」....
はつ恋」より 著者:神西清
、背中はずきずきするし、頭はくらくらしていた。でも、その時わたしが味わったような至福の感じは、わたしの生涯にもはや二度と再び繰返されなかった。それは甘美な苦痛を....