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船板
「船板〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
船板の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「少年の悲哀」より 著者:国木田独歩
置く露は玉のように輝いている。小川の末はまもなく入り江、潮に満ちふくらんでいる。
船板をつぎ合わしてかけた橋の急に低くなったように見ゆるのは水面の高くなったので、....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
袋、板目なぞも狭き処《ところ》を皆それぞれに意匠《いしょう》して網代《あじろ》、
船板、洒竹などを用ゐ云々」。かつまた、「竹材を用ゆる事の範囲|並《ならび》に其《....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
まゆの女が目でいって、右門とともに伝六をも導き入れた一家というのは、おあつらえの
船板べいに見越しの松といったこしらえで、へやは広からずといえども器具調度は相当に....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
い膜に隔てられる。君の周囲には小さな白い粒がかわき切った音を立てて、あわただしく
船板を打つ。君は小ざかしい邪魔者から毛糸の襟巻で包んだ顔をそむけながら、配縄を丹....
「河明り」より 著者:岡本かの子
て、江戸|廻船の業を始めたものが四五軒あった。 その船は舷側に菱形の桟を嵌めた
船板を使ったので、菱垣船と云った。廻船業は繁昌するので、その廻船によって商いする....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
に売行よく、植木職が小器用にしつらえたものより、各自に手づくりするを楽しみとし、
船板の古びたるなぞで頃あいの箱をものし、半日の清閑をその造営に費やす、いと興ある....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
だけ、生ぬるいほどほかほかする。 四辺に似ない大構えの空屋に、――二間ばかりの
船板塀が水のぬるんだ堰に見えて、その前に、お玉杓子の推競で群る状に、大勢|小児が....
「落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
ま」 「おかえんなさい。そうそう郵便が来てましたよ、二三通だったかしら」 狭い
船板で出来た縁側には、おいもがならべてあり、その横で野菜をきりかけたまま庖丁が放....
「人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
してそれどころではありません。船はぎいぎいがたがた鳴りました。さしもがんじょうな
船板も、ひどく横腹を当てられて曲りました。マストはまんなかからぽっきりと、まるで....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
籠や八手などがあった。その庭を囲んでいるものは、この種の妾宅にはつき物にしている
船板の小高い塀であった。 「これ、誰だ!」と武士は云った。しかし坪庭には人はいな....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
こうへ廻し、切り合っていた海賊どもで、白布で手足を巻いているのは、いずれも要介に
船板子で、打ち倒された者どもであった。いわゆる山海の珍味なるものが、あたりいっぱ....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
れは後日なにかの役にたつからていねいにはぎとった。しかしそのつぎには鉄骨があり、
船板があり、柱がある。それらをとくのはなかなかよういなことでない。 しかしさい....
「草藪の中」より 著者:田中貢太郎
女は笑顔になった。益雄は女に親しみを感じて来た。四畳半位ある座敷の前には小さな
船板のような縁側がついていた。 「どうかおかけくださいませ、むさくるしいところで....
「水魔」より 著者:田中貢太郎
べている髯の黒い男を気にしながら、「もとは柳橋にいた奴だよ、今は、駒形堂の傍に、
船板塀に見越の松と云う寸法だ、しかも、それが頗るの美と来てるからね」と小声で云っ....
「水郷異聞」より 著者:田中貢太郎
へ」 女が前になってアンペラの俵を積んである傍を通って土手へ出た。そこには古い
船板のようなものを斜に水の上に垂らしかけた桟橋があって、それが水といっしょになっ....