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船端
「船端〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
船端の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「坊っちゃん」より 著者:夏目漱石
た。お早うお帰りと、かみさんが、浜に立って赤シャツに挨拶《あいさつ》する。おれは
船端《ふなばた》から、やっと掛声《かけごえ》をして磯へ飛び下りた。 六 野だは....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
来る渡し船にも、白い扇や手拭が乗合のひたいにかざされて、女の児の絵日傘が紅い影を
船端の波にゆらゆらと浮かべていた。 その一と群れがこっちの岸へ着いて、ぞろぞろ....
「鰊漁場」より 著者:島木健作
という親爺だった。 それと知った人々は、こんどは暗闇の海に向って叫びはじめた。
船端から身をのり出すようにして、声を限りに叫んだ。返事はなく答えるものはただ風と....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
へ泳ぎついて来た。喜兵衛は度胸を据えて引き上げさせると、かれは潮水に濡れたままで
船端に坐り込んで、だしぬけに何か食わせろと云った。云うがままに飯をあたえると、か....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
じられた。 噎ぶのを堪え、涙を飲み落す秀江のけはい――案外、早くそれが納って、
船端で水を掬う音がした。復一はわざと瞳の焦点を外しながらちょっと女の様子を覗きす....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
るようになりましたが、空と水とはまだ暮れそうな気色もみえないので、水明かりのする
船端には名も知れない羽虫の群れが飛び違っています。白鳥はどこの巣へ帰ったのか、も....
「栗の花」より 著者:岡本綺堂
作るようになりましたが、空と水とはまだ暮れそうな気色もみえないので、水明りのする
船端には名も知れない羽虫の群が飛び違っています。白鳥はどこの巣へ帰ったのか、もう....
「女難」より 著者:国木田独歩
がてまた吹き初めた。指端を弄して低き音の縷のごときを引くことしばし、突然中止して
船端より下りた。自分はいきなり、 「あんまさん、私の宅に来て、少し聞かしてくれん....
「麻畑の一夜」より 著者:岡本綺堂
度も根よく投げるうちに、縄のはしは首尾よく舟のなかへ落ちた。高谷君はさらにそれを
船端へくくり付けて、一種の曳き舟のようにして堤のきわまで曳きよせてもらった。 「....
「平家蟹」より 著者:岡本綺堂
殿ばらは、船に扇のまとを立てさせ、官女あまたある中にも、この玉虫が選みいだされ、
船端に立って檜扇をかざし、敵をまねいて射よという。やがて源氏の武者一騎、萌葱おど....
「病」より 著者:正岡子規
あるので、はね起きて急ぎ甲板へ上った。甲板に上り著くと同時に痰《たん》が出たから
船端の水の流れて居る処へ何心なく吐くと痰ではなかった、血であった。それに驚いて、....
「ダルマ船日記」より 著者:山之口貘
夜、説明付で僕に教えるのだった。こんな風にするんだと言いながら、彼はまくりあげて
船端にしゃがんで見せた。そうして、片方の手をさしのべて鉤のように舷の内枠にかけ、....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
かし今日の大川の上に大小の浪を残すものは一々数えるのに耐えないであろう。 僕は
船端に立ったまま、鼠色に輝いた川の上を見渡し、確か広重も描いていた河童のことを思....