船酔い[語句情報] » 船酔い

「船酔い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

船酔いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
佐渡」より 著者:太宰治
った。二等船室の薄暗い奥隅に、ボオイから借りた白い毛布にくるまって寝てしまった。船酔いせぬように神に念じた。船には、まるっきり自信が無かった。心細い限りである。....
玄海灘密航」より 著者:金史良
影をくらますことさえあるそうである。兎に角内地へ渡って来たのは来たが、皆はひどい船酔いと餓えに殆んど半死の有様で、夜が明けるまでぶっ倒れていた。彼だけはしきりに....
悟浄出世」より 著者:中島敦
て」「しかし、一概に考えることが悪いとは言えないのであって、考えない者の幸福は、船酔いを知らぬ豚のようなものだが、ただ考えることについて考えることだけは禁物であ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ことではあるけれども、兵部の娘がいないことは、物足りないようです――でも、それも船酔いで引籠《ひきこも》っているのだと聞いてみれば、さのみ心配はなく、とにかく、....
渡舟場」より 著者:豊島与志雄
となって暮し、輸送船につめこまれて、故国へ帰ってきた。ぎっしりつめこまれた上に、船酔い気味の者は寝そべるので、ますます場所は狭くなり、膝を抱えて身を置くだけに過....
反スタイルの記」より 著者:坂口安吾
いうことを知った。そのうちに覚せい剤としての効能などが分ってきたのだそうである。船酔いなどにも良いそうだ。とにかく、きく。これを飲めば十時間は必ず眠れぬ。その代....
わが精神の周囲」より 著者:坂口安吾
絶え間なく流れでる洟汁と、こみあげる吐き気に苦しんだ。京都へついた私は、まったく船酔いに似て、寒気と吐き気に苦悶し、半死半生のていであった。京都の旅館へついて、....
推理小説論」より 著者:坂口安吾
は特筆さるべきものであり、展開の妙もめざましい。トランクを東京駅へ運んだ友人には船酔いの薬と称して毒薬を与えて軽く片づけているあたり、末端に至るまで捌きが軽妙を....
決闘」より 著者:神西清
これじゃ外海は荒けとるぞ、やれやれ。悪いときに発つもんだな、コーリャ。」 「僕は船酔いは平気だ。」 「そのことじゃないよ。……この馬鹿どもが君を引くり返さんけり....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
と報知がきたときは、魂をぬかれたようなものさ。こういう意気ごみで出かけるときは、船酔いなんかしないものだね。拙者の文学のエネルギーはそのバカらしさで持ってるよう....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
。大波小波、狂瀾怒濤。小豆をつかって無闇に波の音を立てるもんだから、見物の一同は船酔いするような妙な気持になる。 しょうしょう吐気《はきけ》が来かかったころに....
中支遊記」より 著者:上村松園
を出離れるとすぐから少しゆられた。人々はすぐ寝こんだので私もそれにならい、ついに船酔いも知らずにしまった。 長い旅の経験もない私にとって一ヵ月といえば大変なも....
審判」より 著者:カフカフランツ
う言ったのだが、実際は、腰かけることが彼には気持よかったにちがいなかった。まるで船酔いのようだった。難航中の船に乗っているように思われた。水が板壁の上に落ちかか....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
くだかんばかりに、風は摩世海峡のあいだからきたる。船のベッドに横たわる人々はみな船酔いに苦しみ、海どりが舞い上がって行くかと思えばめぐりかえってくる。) また....
長崎の鐘」より 著者:永井隆
の二日酔いみたいな不愉快な状態である。酒をのまぬ人にこの気持ちがわからぬのなら、船酔いのときを思い出してもらえばよい。全身倦怠、頭痛、悪心《おしん》、嘔吐、眩暈....