艱苦[語句情報] » 艱苦

「艱苦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

艱苦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
」 それには、凄烈を極めた頭脳の火花が散るように思われたが、そこに達するまでの艱苦《かんく》には、さぞかし涙ぐましいものがあったであろう。滝人も、追想やら勝ち....
新生」より 著者:島崎藤村
。彼女の不自由な境遇も。彼女の親や姉や従姉妹《いとこ》に対する強い反抗心も。長い艱苦《かんく》の続いた三年の間の回想はこうして旅から叔父を迎えたことを夢のように....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
》の四人|兄妹《きょうだい》であったが、幼年のころに両親に死に別れて、皆それぞれ艱苦《かんく》を嘗《な》めた。なかの男と女は早く死んで、祐道とお近だけが残った。....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、自然力の微妙な細刻に相違ないのである。 その室は石灰石の積石で囲まれていて、艱苦と修道を思わせるような沈厳な空気が漲っていた。突き当りの石扉の奥が屍室で、そ....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
細片の降りそそぐ氷河口の危難。峰は三十六、七、氷河は無数。まったく、この三月間の艱苦は名状し難いものだった。しかし、ここで不思議に思われることは、この極地にくる....
ある抗議書」より 著者:菊池寛
てやりたいと思いました。私は、昔の人間が肉親を殺された場合、敵打にいでて幾年もの艱苦を忍ぶ心持が充分に解ったように思いました。私は、今でも復讐が許されるならば、....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
運び等仕り、ようやく田地を養い候ほどの為体、お百姓どもも近村に引き比べては一層の艱苦仕り候儀に御座候……」 読みかけて半蔵は深いため息をついた。 「伊之助さん....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
これが自分で捌き得る人物だろうかと、大に疑懼の念を抱かざるを得なくなり、又今更に艱苦にぶつかったのであった。 主人の憤怒はやや薄らいだらしいが、激情が退くと同....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の足手纏いになられるようなことは決してなかったと申すことでございます。 かかる艱苦の旅路の裡にありて、姫の心を支うる何よりの誇りは、御自分一人がいつも命のお伴....
俊寛」より 著者:倉田百三
結合していた。わしはその愛のために死にたいとさえ思っていた。わしたちはこの欠乏と艱苦との中にあって、友情をさえ失わなければならないのか。わしはあなたがたがだんだ....
少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
たましくやつれ、衣服は破れよごれている、雨に打たれ、風にさいなまれ、恐怖と不安の艱苦をなめたのだ。こう思うとゴルドンは四人がいとしかった。 「ゆるすもゆるさんも....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
どには、ずいぶん気の毒にも思われるが、その昔、かの鳥熊の芝居見物に出かけた我々の艱苦にくらべると、殆んどその十分の一にも足らぬように思われる。鳥熊の春木座は午前....
九月四日」より 著者:岡本綺堂
る。しかも一旦は幸いにその危機を脱出し得ながら、その後更に肉体にも精神にも種々の艱苦を嘗めて、結局は死の手を免れ得なかった人々もまた悲惨である。畳の上で死なれた....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
想像を越えた、もっとも無収穫な結末だったにちがいない。大遠征軍、貴公子の御大将、艱苦、希望、大見得――そのすべてがついに、むなしい屈辱と、無限に中途半端な睨み合....
婦人の過去と将来の予期」より 著者:小川未明
あり、労働であればこそ不平も起るけれど、真理への道程であると考えた時には、現在の艱苦に打克つだけの決心がなくてはならない。 これを思う時、婦人開放も、婦人参政....