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色素
「色素〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
色素の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
いた。その代わり目は前にも増して大きく鈴を張って、化粧焼けとも思われぬ薄い紫色の
色素がそのまわりに現われて来ていた。それが葉子の目にたとえば森林に囲まれた澄んだ....
「星座」より 著者:有島武郎
えているなと園は思った。園はそう思った。園は右手の食指に染みついているアニリン染
色素をじっと見やった。
おぬいさんは園のいる前で何んの躊躇もなく手紙の封を切っ....
「失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
知れない。 扉の右手には、朱丹・群青・黄土・緑青等の古代岩絵具の色調が、見事な
色素定着法で現わされている、二人の冥界の獄卒が突っ立っていた。 右はアディソン....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
りません、学術的とはいわれません、私の方法は、或る薬剤の注射により、髪の根にある
色素という奴を変性させるのです、根本的の手段です、一旦
色素が変性すれば幾度髪の毛....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
な不思議を現わした。峠のある部分は鋼鉄のように寒くかたく、また他の部分は気化した
色素のように透明で消えうせそうだ。夕方に近づくにつれて、やや煙り始めた空気の中に....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
かった憧憬が、栄えばえと現われて来る。わが心は画家の絵の具を塗る画布である。その
色素はわれわれの感情である。その濃淡の配合は、喜びの光であり悲しみの影である。わ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
分るはずだった。 もちろん、これはアッコルティ先生の指図で、難しく言えば「皮膚
色素の移行」の研究である。たとえば、果実を主食とする黒人にたいし、その量を減らす....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
なかったのである。 そのころでもすでに粗製のうその朱唐紙があって、そういうのは
色素が唾液で溶かされて書物の紙をよごすので、子供心にもごまかしの不正商品に対して....
「錯覚数題」より 著者:寺田寅彦
を書いた本はないかと思って気をつけて見たが、なかなか見つからない。化学的染料塗料
色素等に関する著書はずいぶんたくさんにあるが、古来のシナ墨、それは現在でもまだか....
「糸車」より 著者:寺田寅彦
音を立てるのであった。「みくり」を通過して平たくひしゃげた綿の断片には種子の皮の
色素が薄紫の線条となってほのかに付着していたと思う。 こうして種子を除いた綿を....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
ろんとして眼窩の中で釣がゆるんだらしく、いびつにぴょく/\動いている大きな凸眼、
色素の薄くなった空色の瞳は黄ろい白眼に流れ散ってその上に幾条も糸蚯蚓のような血管....
「歳時記新註」より 著者:寺田寅彦
寒まで冷した空気を吸わせ真空を作る事も発明された。また炭は溶液の中にある有機性の
色素を吸収する性質がある、殊に獣炭あるいは骨炭がこれに適しているので砂糖の色を抜....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
して、ベンジンを得た。このベンジンからアニリンが採れるので、従って今日のアニリン
色素製造の大工業の基礎になった発見というてもよい。 この年、ローヤル・ソサイテ....
「秋草」より 著者:島崎藤村
階の窓をあけて見ると、まだ垣も暗い。そのうちに、紅と藍色とのまじったものを基調の
色素にして瑠璃にも行けば柿色にも薄むらさきにも行き、その極は白にも行くような花の....
「紫外線」より 著者:小酒井不木
モンドの真偽はすぐに鑑別することができるのであります。 なおまた多くのアニリン
色素は、紫外線に当たるときわめて美しい光を発します。それゆえ染物の鑑定などにも紫....