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「色調〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

色調の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大川の水」より 著者:芥川竜之介
なる夕空の薄明りとは、この大川の水をして、ほとんど、比喩《ひゆ》を絶した、微妙な色調を帯ばしめる。自分はひとり、渡し船の舷に肘《ひじ》をついて、もう靄《もや》の....
富士」より 著者:岡本かの子
かないさきから山の林種はこれ等で装われていることを、陽《ひ》に映《は》ゆる山緑の色調で見て取った。この様子の山なら草木の種類はまだ他にたくさん宿っている筈だ。 ....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
、ちょうど置燈籠を、半分から截《た》ち割ったようであって、いくぶんそれが、陰惨な色調を救っているように思えた。 十四郎は、熱した脂肪の跳《は》ねを、右眼にうけ....
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
適切であるかも知れない。 扉の右手には、朱丹・群青・黄土・緑青等の古代岩絵具の色調が、見事な色素定着法で現わされている、二人の冥界の獄卒が突っ立っていた。 ....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
。 二 大雨が晴れてから二日目の午後五時頃であった。世間は恐怖の色調をおびた騒ぎをもって満たされた。平生聞ゆるところの都会的音響はほとんど耳に入....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
憑れているのだ」 やっと、逸作が玄関から出てきた。画描きらしく、眼を細めて空の色調を眺め取りながら、 「見ろ、夕月。いい宵だな」 といって、かの女を急き立てる....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
方実際問題として、膠質の絵具では全体にわたって眩耀が起らねばなりません。しかし、色調を奪って、その眩耀を吸収してしまうばかりでなく、それを黒と白の単色画に、判然....
ルバイヤート」より 著者:小川亮作
ならば、この東方に深く憧れた詩人の『西東詩集』には、さらに色濃いオマル的な懐疑の色調が加えられたかも知れない。 本書に収めた一四三首はペルシア語の原典から直接....
すり替え怪画」より 著者:海野十三
た。それと、壁にかかっている画面とを見較べると、いよいよ相違がはっきりしてきた。色調も、なんだか違うようである。これは一体どうしたわけであるか。 ふと、伯爵の....
四次元漂流」より 著者:海野十三
北先生は、それを追い駆けるようにして寝室へ入った。そこはくすぐったいような匂いと色調とを持った高雅な女性の寝室であった。ベッドは右奥の壁に――。 「ゆ、雪子、雪....
異性に対する感覚を洗練せよ」より 著者:岡本かの子
現代の女性の感覚は色調とか形式美とか音とかに就いて著るしく発達して来た。全ゆる新流行に対して、その....
カメラに関する覚え書」より 著者:伊丹万作
心の注意、画面の調子に関するくふう、セット・小道具・衣裳・俳優の肉体などあらゆる色調ならびに線の調和などに対する関心、およびそれらの質・量あるいは運動による画面....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
悪霊ステツレルも、ラショワ島の殺人者も……、神秘と休息と眠りの中に、名状しがたい色調となり、溶け込んでいくのだった。....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
入りはじめた。 それは百号ほどのもので、数世紀も遡行したと思われるような、暗い色調で描かれていた。事実クイロス教授が持ち出した謎は、この画中において、さらに混....
「汐くみ」の画に就いて」より 著者:上村松園
「汐くみ」は私としては相当に苦心を費やし、努力を払うた作品でございます。殊にこの画について心を用いた点は色調でございました。しかしいったいの釣合をとるためには、幾遍も素描をやり直しまし....