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花客
「花客〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
花客の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「根岸お行の松 因果塚の由来」より 著者:三遊亭円朝
愉快を尽《つく》されましたときに出たのが花里で、品川では軍艦《ふね》の方が大のお
花客《とくい》でげすから、花里もその頃はまだ出たてゞはございますし、人々から注意....
「鉄鎚」より 著者:夢野久作
知り合いになった連中で大部分で、その中《うち》でも一番よけいに来るのは、叔父の上
花客《じょうとくい》になっている田舎の田地持ちである事が、言葉の端々《はしはし》....
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
であろう。 いずれにしても浅草は昔の浅草でなくなった。赤毛布《あかゲット》が上
花客《じょうとくい》でなくなった。現代式とか文化的とかいう言葉を理解する新東京人....
「蓄音機」より 著者:寺田寅彦
いたずらに空中に飛散して銭を払わない往来の人に聞こえる事のないように、銭を払った
花客だけによく聞こえるために幾対かのゴム管で分配されるようになっていた。耳にさし....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
を張出して、貸本のほかに、その商をはじめたのはいいとして、手馴れぬ事の悲しさは、
花客のほかに、掻払い抜取りの外道があるのに心づかない。毎日のように攫われる。一度....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
微笑みて物語するようになりぬ。されど物語の種はさまで多からず、牛の事、牛乳の事、
花客先のうわさなどに過ぎざりき。牛乳屋の物食う口は牛七匹と人五人のみのように言い....
「山の手の子」より 著者:水上滝太郎
舶来と言われなければ喜ばなかった。長崎屋の筋向うの玩具《おもちゃ》屋の、私はいい
花客《おとくい》だった。洋刀《サアベル》、喇叭《らっぱ》、鉄砲を肩に、腰にした坊....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
だ。丹波と言ったかね、ほんとうに」 「そう伺いましたが」 「丹波の領家なんて、お
花客すじにも、心当りはないんだが。まあいいや、独り者の柳斎旦那だ。丹波であろうと....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
するので、荒びた軒の人々は、剣槍を見ても、驚くなどのふうはなく、かえって、よいお
花客として、蠅のように、酒売りの男どもや、籠を頭にのせた販ぎ女などが、すぐ寄りた....
「無宿人国記」より 著者:吉川英治
首で抑えながら、 「足かけ二月、永い御湯治で。――てまえが、仙台から、会津福島の
花客を、ぐるりっと、一廻りして来ても、まだ御滞在と聞いたには驚きましたな」 「何....
「脚」より 著者:吉川英治
わくわくさせ、伯父夫婦へ、額をつけて、礼をいった。 「礼は、はやい。店の大事なお
花客だし、先はお旗本の御隠居、どじをするなよ」 「はいっ」 彦太は、堅くなって....
「春の雁」より 著者:吉川英治
身だった。家は長崎で、反物や装身具や支那画などの長崎骨董を持って、関西から江戸の
花客を廻り、あらかた金にすると、春の雁のように、遥々な故国へ帰ってゆくのである。....