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花瓶
「花瓶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
花瓶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
一時との間、――旅館では今が一日中でも、一番静かな時刻である。部屋|毎《ごと》の
花瓶に素枯《すが》れた花は、この間《あいだ》に女中が取り捨ててしまう。二階三階の....
「河童」より 著者:芥川竜之介
の話をしたものです。
なんでもある霧の深い晩、僕は冬薔薇《ふゆそうび》を盛った
花瓶《かびん》を中にゲエルの話を聞いていました。それはたしか部屋《へや》全体はも....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
はめこんだカップ・ボオド、動きながら燃えている幾つかの電燈、菜の花をさした硝子の
花瓶、――そんな物が、いずれも耳に聞えない声を出して、ひしめいてでもいるように、....
「星座」より 著者:有島武郎
床の正面に、半分枯れかかった樺色と白との野菊を生けて、駄菓子でこね上げたような
花瓶のおいてあったのを、障子の隅におろしてしまって、その代りに自分の懐ろから制帽....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
だから、十分に余裕がある。戸袋と向合った壁に、棚を釣って、香水、香油、白粉の類、
花瓶まじりに、ブラッシ、櫛などを並べて、洋式の化粧の間と見えるが、要するに、開き....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
。 庫裡の炉の周囲は筵である。ここだけ畳を三畳ほどに、賽銭の箱が小さく据って、
花瓶に雪を装った一束の卯の花が露を含んで清々しい。根じめともない、三本ほどのチュ....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
白木彫の、み姿の、片扉金具の抜けて、自から開いた廚子から拝されて、誰が捧げたか、
花瓶の雪の卯の花が、そのまま、御袖、裳に紛いつつ、銑吉が参らせた蝋燭の灯に、格天....
「橋」より 著者:池谷信三郎
静かに門を開けた。錆びついた鉄の掛金がギイと鳴った。老人はやはりこの建物の中で、
花瓶にさした一輪の椿の花のように死んでしまった自分の娘の事を考えていた。男の手紙....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
るに秋野の錦を浮織にせる、花毛氈をもってして、いと華々しく敷詰めたり。 床なる
花瓶の花も萎まず、西向の※子の下なりし机の上も片づきて、硯の蓋に塵もおかず、座蒲....
「露肆」より 著者:泉鏡花
ても可いそうな肱掛椅子に反身の頬杖。がらくた壇上に張交ぜの二枚屏風、ずんどの銅の
花瓶に、からびたコスモスを投込んで、新式な家庭を見せると、隣の同じ道具屋の亭主は....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
のとは、気持がすっかり異います。私達にはその気持がよく判るのです……。』 『では
花瓶に活ける為めに枝を伐られても、あなた方はそう気まずくは思わないでしょう?』 ....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
「新さん。」 と聞えたれば馳せゆきぬ。と見れば次の室は片付きて、畳に塵なく、床
花瓶に菊一輪、いつさしすてしか凋れたり。 東枕 襖左右に開きたれば、....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
時は男の児が産れると伝えて、順を乱すことをしないで受けるのである。 右左に大な
花瓶が据って、ここらあたり、花屋およそ五七軒は、囲の穴蔵を払ったかと思われる見事....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
ん、まあお上り、菊枝さん、きいちゃん。」と言って部屋の内を※すと、ぼんぼん時計、
花瓶の菊、置床の上の雑誌、貸本が二三冊、それから自分の身体が箪笥の前にあるばかり....
「活人形」より 著者:泉鏡花
を垂れたり。三方に壁を塗りて、六尺の開戸あり。床の間は一間の板敷なるが懸軸も無く
花瓶も無し。ただ床の中央に他に類無き置物ありけり。鎌倉時代の上※長けたらんといと....