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花盛り
「花盛り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
花盛りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
帰りに租界《そかい》の並み木の下《した》を歩いて行った。並み木の槐《えんじゅ》は
花盛りだった。運河の水明《みずあか》りも美しかった。しかし――今はそんなことに恋....
「影」より 著者:芥川竜之介
日の暮が近づいて来た。しかし日の光は消えたものの、窓掛けの向うに煙っている、まだ
花盛りの夾竹桃《きょうちくとう》は、この涼しそうな部屋の空気に、快い明るさを漂《....
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
むことにした。が、彼女の心もちは何か落ち着きを失っていた。彼女の前にあった新聞は
花盛りの上野《うえの》の写真を入れていた。彼女はぼんやりこの写真を見ながら、もう....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
思議でございます。お年輩も、たしか命はその時御二十四、姫は御十七、どちらも人生の
花盛りなのでございました。 これは余談でございますが、私がこちらの世界で大和武....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
しかし、このアリ・ザデとアルハーゼンとの考えの相違は、アルハーゼンの時代に満開の
花盛りを示したかの回教文化がなにゆえに今日もはや新しい芽を出し得ないかという理由....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
、賭的がござりまして、山のように積んだ景物の数ほど、灯が沢山|点きまして、いつも
花盛りのような、賑な処でござります。」 客は火鉢に手を翳し、 「どの店にも大き....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
に生え拡がり、縦横無尽に蔓り乱れて、十三夜が近いというのに、今が黄色な花ざかり。
花盛りで一つも実のない、ない実の、そのあって可い実の数ほど、大きな蝦蟇がのそのそ....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
のが惜しゅうてのう。ついそのままに延引していたが、親の子煩悩が仇となって、あたら
花盛りをやみやみと過ごさするもまた本意でない。して、お身はどのような男を持ちたい....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
は兄弟に別れるよりも辛《つら》かった。この長いものを横たえて野州に男を売った昔の
花盛りを思い出すと、彼は悲しい秋が急に押し迫って来たように心さびしくなった。 ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
という小芝居の俳優を雇うことになった。俳優はみんな十五、六の子供で、嵯峨や御室の
花盛り……の光国と瀧夜叉と御注進の三人が引抜いてどんつくと降って来た。 踊り屋....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
かかることにしましょう。しかしまんざらお花見に縁のないわけではない。その御殿山の
花盛りという文久二年の三月、品川の伊勢屋……と云っても例の化伊勢ではありません。....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
がら答えた。「もう十日か半月の御辛抱でござります。ここらで雪のやむ頃は、お江戸は
花盛りでござりましょう」 澹山は江戸の春が恋しくなった。去年の五月に江戸を発っ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
って小石川へ登った頃にも、秋の夕日はまだ紅く残っていた。高源寺は相当に広い寺で、
花盛りの頃には定めし見事であったろうと思われる百日紅の大樹が門を掩っていた。 ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
万力とを連れて、屋根船を徳次に漕がせて大川をのぼった。向島から堤へあがって、今が
花盛りの桜を一日見物して、日の暮れる頃に漕ぎ戻って来ると、あいにくに桟橋のきわに....
「深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
めていることになった。 なにしろ久し振りで東京へ帰って来たのである。時は四月の
花盛りで、上野には内国勧業博覧会が開かれている。地方からも見物の団体が続々上京す....