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花筒
「花筒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
花筒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、五人の墓の前に立っている新らしい塔婆を片っぱしから引っこ抜いてしまうんですよ。
花筒の樒《しきみ》の葉は掻きむしってしまう。どうにもこうにも手に負えねえ。初七日....
「趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
門番が怖《おそろ》しければ寂光院のこの女も淋しくなくてはならん。 御墓を見ると
花筒に菊がさしてある。垣根に咲く豆菊の色は白いものばかりである。これも今の女のせ....
「星あかり」より 著者:泉鏡花
うから、我慢にも恃むまい。…… 冷い石塔に手を載せたり、湿臭い塔婆を掴んだり、
花筒の腐水に星の映るのを覗いたり、漫歩をして居たが、藪が近く、蚊が酷いから、座敷....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
も皆ちゃんと掛っていた。ただ勝手元の床の上に、葉が黄色く枯れた水仙を差して置いた
花筒が見えない。よく見ると、板の間に水をひっくりかえしたらしい痕があって、その蓋....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
。碑のおもては荒れてよく見えないが、六無斎友直居士の墓とおぼろげに読まれる。竹の
花筒には紫苑や野菊がこぼれ出すほどにいっぱい生けてあった。そばには二個の大きな碑....
「古狢」より 著者:泉鏡花
、その負さりたもうた腹部の中窪みな、御丈、丈余の地蔵尊を、古邸の門内に安置して、
花筒に花、手水鉢に柄杓を備えたのを、お町が手つぎに案内すると、外套氏が懐しそうに....
「原爆詩集」より 著者:峠三吉
埋めた場所は 何かの下になって 永久にわからなくなる 「斉美小学校戦災児童の霊」
花筒に花はなくとも 蝶が二羽おっかけっこをし くろい木目に 風は海から吹き あの....
「空家」より 著者:宮崎湖処子
はまた二三日ごとに墓の掃除せられ、毎朝己れに先だって線香立ち、花|※《さ》され、
花筒の水も新《あら》たまり、寺の御堂にも香の煙|薫《くゆ》らし賽銭《さいせん》さ....
「植物知識」より 著者:牧野富太郎
な下位でいずれも花の下、すなわち花の外に位《くらい》している)があり、子房の上は
花筒《かとう》となり、この
花筒の末端《まったん》に白色の六|花蓋片《かがいへん》....
「仲々死なぬ彼奴」より 著者:海野十三
耳に入らぬではなかったが、明日にさし迫った大熊老人の葬儀に供えるための、大青竹の
花筒を急造したり、山のように到着した榊や花を店前に下ろしたり、それに続いて、その....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
んだ。少しは分る。私だって少々は噛る。――土耳古の鼻を舐めた奴だ、白百合|二朶の
花筒へ顔を突込んで、仔細なく、跪いた。――ただし、上げましょう拳銃を――と言う意....
「父の墓」より 著者:岡本綺堂
の心に協うべきか、いわゆる「父の菩提」を吊い得べきか。墓標は動かず、物いわねど、
花筒の草葉にそよぐ夕風の声、否とわが耳に囁くように聞ゆ。これあるいは父の声にあら....
「磯部の若葉」より 著者:岡本綺堂
察して止めた。 今度行ってみると、佐々木の墓も大野の墓も旧のままで、大野の墓の
花筒には白い躑躅が生けてあった。かの若い僧が供えたのではあるまいか。私は僧を訪わ....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
アイリスや、薔薇の花なぞを持って上がって来たのです。枕許の花瓶に生けて、壁や柱の
花筒に挿して、 「ここから眺めると、海が広くて、気持が晴れ晴れするでしょう?」 ....
「幼年時代」より 著者:室生犀星
を拵えてその上に鎮座させた。 私はその台座のまわりにいろいろな草花を植えたり、
花筒を作ったり、庭の果実を供えたりした。毎月二十四日の祭日を姉から教えられてから....