»
花菖蒲
「花菖蒲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
花菖蒲の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
す。」 紳士は、射られたように、縁台へ退った。 美しい女の褄は、真菰がくれの
花菖蒲、で、すらりと筵の端に掛った…… 「ああ、お稲さん。」 と、あたかもその....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
かも柴車とすれ違ってゆく。 所は三条大橋、前には東山、見るものは大津牛、柴車、
花菖蒲、舞妓と絵日傘――京の景物はすべてここに集まった。(明治42・6) 信濃....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
ハッハッハッ莫迦な話だ」 で、歯牙にも懸けなかった。 春が逝って初夏が来た。
花菖蒲の咲く頃になった。庄内川には鮎が群れ、郊外の早苗田では乙女達が、※秧の業に....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
干狩 山吹の名所 節句 筍めし 藤と躑躅と牡丹 初松魚 釣りと網 初袷 五月場所
花菖蒲 稗蒔 苗売り 木やり唄 浅草趣味 八百善料理 風鈴と釣忍 井戸がえ 箱庭....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
じ》ないことがある。たまたま壁の暦を見て、時の経つのに驚きました位。夢の間に軒の
花菖蒲《はなしょうぶ》も枯れ、その年の八せんとなれば甲子《きのえね》までも降続け....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:条野採菊
を掛け、一節切に露取をさえ添え、是に加うるに俳優|澤村曙山が逸事を以てし、題して
花菖蒲沢の紫と号せしに、この紫や朱より先の世の評判を奪い、三十年後の今日迄依然と....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
」の前触れ勇ましく、先刻玄関先に二|人びきをおりし山木は、早湯に入りて、早咲きの
花菖蒲の活けられし床を後ろに、ふうわりとした座ぶとんにあぐらをかきて、さあこれか....
「花のき村と盗人たち」より 著者:新美南吉
を見《み》て来《き》たのか。」 「川《かわ》についてどんどん行《い》きましたら、
花菖蒲《はなしょうぶ》を庭《にわ》いちめんに咲《さ》かせた小《ちい》さい家《いえ....
「生活」より 著者:林芙美子
んたろう》さん、堀辰雄《ほりたつお》さん、永井龍男《ながいたつお》さん、いずれも
花菖蒲《はなあやめ》だ。だけど、女の青春はどうも短かすぎる。――いま、せまい私の....
「植物知識」より 著者:牧野富太郎
つ》、数百品もあるであろう。かつて三好学《みよしまなぶ》博士が大学にいる間に、『
花菖蒲図譜《はなしょうぶずふ》』を著《あらわ》して公《おおやけ》にしたが、まこと....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
は「おみよ新助」の封切りをした。殺し場でチョンと後の黒幕が落ちると、紫と白美しき
花菖蒲が、そこかしこ八つ橋を挟んで咲きみだれていた。 その菖蒲模様を背景に禅《....
「押絵の奇蹟」より 著者:夢野久作
四角い爪をいじりながら西向きのお庭の泉水《せんすい》に咲いているお父様の御自慢の
花菖蒲《はなしょうぶ》をボンヤリ見ておりましたが、今までカンカン照っていたお日様....
「旅愁」より 著者:横光利一
ろう。」
「そうかしら。」
千鶴子は不平げに低く云ってまたぼんやりと屋根の上の
花菖蒲を見つづけた。
「そうかしらでもなかろう。悪ければまアお赦しを願うが、――....
「旗岡巡査」より 著者:吉川英治
いないし、何も礼につかわす物がないが……これはわしの刀に付けておる目貫で、鉄地に
花菖蒲の象嵌彫、作銘もないが、持ち馴れた品じゃ、かたみに上げるから納めておいてく....