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芳香
「芳香〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
芳香の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「オシャベリ姫」より 著者:かぐつちみどり
パイになるように白い牛乳のようなものを注《つ》いでまいりました。 その白い汁の
芳香《におい》のいい事……。 鉄の牢屋へ這入ってから、雲雀の国から蛙の国から、....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
って蔽われ、ところどころにさまざまの形をした花壇が出来て居り、作り物ならぬ天然の
芳香を持つ春の草花が美しく咲き並んでいた。僕は言葉もなく呆然とその場に立ち尽した....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
もなく、ヒューンと発電機の呻りに似た音響が聴こえているかと思うと、エーテルの様な
芳香が、そこら一面に漂っているのだった。時々、大きな岩石でも抛り出したような物音....
「蠅男」より 著者:海野十三
な臭気は薄れた。そしてそれに代って、ひどく鼻をつくのが消毒剤のクレゾール石鹸液の
芳香だった。 「ここ病院の古手と違うか」 「あほぬかせ。ここの大将が、なんでも洋....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
い、またこれを理想化するようになる。西洋の茶人たちは、茶のかおりとかれらの思想の
芳香を混ずるに鈍ではなかった。茶には酒のような傲慢なところがない。コーヒーのよう....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
た。そこは建築したばかりの大工場で、この一棟へはいった。土くれの匂いなどはなく、
芳香を放つ脂の匂いがあった。そして壁も天井も明るく黄いろく塗られて、頑丈に見えた....
「毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
力のつよい敵兵を斃すことは出来ん。あ、また霊感が湧いた。おおそうか、この毒瓦斯に
芳香をつけるのだ。鰻のかば焼のような
芳香をつけるのだ。無臭瓦斯よりもこの方がいい....
「香水紳士」より 著者:大阪圭吉
出口のほうへ歩いて行った。 人びとは、誰もかも、その紳士の発散する、強い激しい
芳香に打たれて、びっくりしたように立ちどまると、不思議そうな顔をして、或はあきれ....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
団の真っ白の叢が見える。築山の裾に屯ろしている。ユラユラユラユラと揺れ動く。と、
芳香が馨って来た。 牡丹が群れ咲いているのらしい。 と、娘の声がした。 「今....
「首頂戴」より 著者:国枝史郎
ものだ。まさかに許せなどともいわれまい。……はてな?」 というと深呼吸をした。
芳香が馨って来たからである。 「香を焚くという噂だが、成程な、香の匂いだ。しかも....
「博物誌」より 著者:岸田国士
んには、無垢の乙女の色をした薔薇の花が咲いている。その花が惜し気もなく撒き散らす
芳香に、彼女は酔ってしまう。花は決して人を警戒しない。どんな毛虫でも、来さえすれ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
がたっている。夢というものにも鋭敏な感受性があるにちがいない。そしてみずから発つ
芳香におのが官能を酔わしめて、ひそやかに楽しんでいる。それが、ほのかに、かすかに....
「夜寒に火を囲んで懐しい雑炊」より 著者:北大路魯山人
自作したものだけでも未だ数十が挙げられる。 もう一度繰り返せば雑炊の要は、種の
芳香を粥にたたえて喜ぶこと。熱いのを吹き吹き食べる安心さ。なんとなく気ばらぬくつ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
* 囂々々々々々、轟々々々々々、 混雑、擾乱、圧搾、粉砕、散乱、微塵、
芳香、光、光、光。 や、木っ羽だ、木っ羽木っ羽、木っ羽微塵だ。流出だ。氾濫だ。....
「山椒魚」より 著者:北大路魯山人
のだという気がした。そればかりでなく、腹を裂き、肉を切るに従って、芬々たる山椒の
芳香が、厨房からまたたく間に家中にひろがり、家全体が山椒の
芳香につつまれてしまっ....