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芽立ち
「芽立ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
芽立ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
の色にはあまり幸福らしい光は閃いていなかった。自我の強い親の監督の下に、いのちが
芽立ち損じたこどもによくある、臆病でチロチロした瞳の動き方をしていた。かの女は巴....
「二つの庭」より 著者:宮本百合子
った隣の奥ふかい庭が見おろせた。梢をひいらせている銀杏《いちょう》の若葉が、楓の
芽立ちの柔らかさとまじりあって美しく眺められる。 「いつ来たの、僕ちっとも知らな....
「道標」より 著者:宮本百合子
その間にひとすじのあらわれた黒い土は、胸のときめくような新鮮さだった。艷と、もう
芽立ちの用意のみえる並木道の菩提樹や楓《かえで》のしなやかさをました枝のこまやか....
「鼻の表現」より 著者:夢野久作
混線をやるに決っております。 さながらに漬物の味見でもするように、異性の性愛の
芽立ちから薹立ち迄、又は生なれから本なれへと漁り歩きます。デカダンの非道いのにな....
「風俗の感受性」より 著者:宮本百合子
紛糾も、社会生活の諸要素が、ゆたかな雨とゆたかな日光とにぬくめられて、一時にその
芽立ちに勢立つ緑濃き眺めと云うよりは、寧ろ、もっと力学的な或はシーソー風なもので....
「新入生」より 著者:宮本百合子
を越したぐらいの男や女の子が、様々の表情と風采とをもつ勤人たちの波に混って、楡の
芽立ちかけた横通りを来るのである。それらの人通りは、あんまりひろくない通りいっぱ....
「時代と人々」より 著者:宮本百合子
手に負えない内心の有様とはかかわりない他愛のない物語だったことも、精神が不平均に
芽立ちむらがったその年頃の自然だったのだと思われる。 四年生になると女学校では....
「あとがき(『モスクワ印象記』)」より 著者:宮本百合子
まずそこにくりひろげられ、発展されている社会主義的生活のよく艱難にたえてのびゆく
芽立ちは、二十年前の現実の細部の中にまざまざと生きている。ソヴェトについてのこれ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ラカートをはりめぐらして、書籍市がひらかれ、菩提樹の若いとんがった青緑の粒だった
芽立ちと夜は樹液の匂いが柔かく濃い闇にあふれます。アコーディオンの音や歌がきこえ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
がつめたい位ね。庭の白い木蓮とコブシの薄紫色の花がいかにもきれいです、楓や山吹の
芽立ちとともに。 きのうは、暑くなかったので、昼飯後、日本橋と新宿へ参りました....
「役人の頭」より 著者:末弘厳太郎
も私はかくしてこそ、わが国がいきいきと伸びてゆくのだ、これこそ実に新日本への木の
芽立ちと考えています。役人はなにゆえにこの伸びてゆく若芽を刈らんとするのであろう....
「東洋文化史における仏教の地位」より 著者:高楠順次郎
如月でありますが、木更衣とも書きます。木が衣物を着換えるというような意味で、木の
芽立ちのことをいったのかも知れない。「キサライ」というのは梵語でそのまま「木の芽....
「蛾」より 著者:室生犀星
と、堀が何時ものように杏の根もとにいたが、ふしぎに垣外に一人の女が立って、杉の新
芽立ちの間から庭中を窺っているようだった。よく透してみると、背中に汗のするほど驚....
「釜沢行」より 著者:木暮理太郎
それも春まだ浅く芽がほぐれ切らずにいる。草などは今漸く冬の眠から醒めてほの紅い角
芽立ちを見せたまま※々とふる春雨を待っているさまだ。しかし針葉樹林も真ノ沢の上流....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
斜面には雪が残っていたらしい、汚い泡のようなものがこびり付いている古株から、草の
芽立ちがほの紅く角ぐんでいる。獣の路を逐うて前の木立に潜り込む、人ひとりの重さ位....