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「苔の花〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

苔の花の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
手水鉢《ちょうずばち》の屋根は打《ぶ》っ壊れて、向うの方に飛んで居ります。石塚は苔の花が咲いて横倒《よこッたお》しになって居りまする程の処、其の少し手前に葮簀張....
インドラの網」より 著者:宮沢賢治
》は乾《かわ》いた灰《はい》いろの苔《こけ》で覆《おお》われところどころには赤い苔の花もさいていました。けれどもそれはいよいよつめたい高原の悲痛《ひつう》を増《....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
の瘡蓋の上に、モジャモジャと一房の毛があった。黄金色に変色して顫えている様子が、苔の花を聯想させた。 それは新来者の右の腕で、左の腕は見えなかった。だがその右....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
、奥津城のある処、昔を今に思い出したような無縁墓、古塚までも、かすかなしめっぽい苔の花が、ちらちらと切燈籠に咲いて、地の下の、仄白い寂しい亡霊の道が、草がくれ木....
道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
行ったところには、山頂きの、月の色に燃えた杉の梢へでも、谷底の、岩の裂け目に咲く苔の花へでも、邪婬の霧が降らずにはいようもないわ。 若僧 その依志子という女人が....
生死卍巴」より 著者:国枝史郎
。 一所に崖が出来ていて、小さな滝が落ちていた。岩燕が滝壺を巡って啼き、黄色い苔の花が咲いていた。その苔の花にまじりながら、常夏の花が咲き乱れていた。 ※|果....
母子像」より 著者:久生十蘭
さが、熱の出そうな身体の疲れが、洞窟にいたときの感じとよく似ている。洞窟の天井に苔の花が咲き、岩肌についた鳥の糞が点々と白くなっていた。洞窟の口は西にむいてあい....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
す。そういう大きなものばかりかと言うと、蟋蟀の髭の尖に生命用心の機能を揮わしめ、苔の花一つに種の繁殖の仕組みを籠めさしてあります。それは自然力だというかも知れま....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ある。面やつれしている品のよい母の顔は、梨の花みたいに仄青かった。長い石垣には、苔の花がポチポチ見え、土塀のうえの梢は黄昏れかけていて、邸のうちから燈火がもれて....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
、ここに世を避けていたという、蝉丸道士の秘曲を山風にしのばせて、老杉空をかくし、苔の花を踏む人もない幽寂につつまれている。 ちょうど、北関の裏崖へ、誰も知らぬ....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
とう、皆で次のような句に合作してしまう。ただし、句の著作権は原作者のものとする。苔の花敷きてみめよき孕み猫 「まあ、この程度なら、句といえましょうかな」 と春....