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「苛立ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

苛立ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
何物の怪しき影ぞ、円なる太陽の光を蔽うやとて、大紅玉の悩める面を、拭い洗わんと、苛立ち、悶え、憤れる状があったが、日の午に近き頃には、まさにその力尽き、骨|萎え....
野狐」より 著者:田中英光
僻んでいたときだけに、その客たちが嬉しく、桂子が二時間経っても、まだ来ない気持の苛立ちも紛らすことができた。 黄昏、例によってアドルムと人が恋しくなる頃、私は....
縮図」より 著者:徳田秋声
座敷を二階へ秘密で断わることもあった。すると松島は近所で聞こえる燧火の音に神経が苛立ち、とんとんと段梯子をおりて来て、 「おい、近所は忙しいぞ。お前たち用事でも....
或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
いとすれば一体どうなるのだ? という所へ考が落込んでいった時、訳の分らない憤りと苛立ちとを覚えてきた。私の方をじっと窺っているらしい俊子の落着き払った様子にも、....
傷痕の背景」より 著者:豊島与志雄
なぜなら、それは彼等の政治的権力と矛盾するからだ……。 此度は杉本が、かすかな苛立ちで眉をひそめていた。そして有吉は、薄笑いを含んで、髭をひねっていた。 二....
立枯れ」より 著者:豊島与志雄
た。そしてそれをお互に投影しあって、自分の方がお留守になり、キミ子は中江の神経の苛立ちを気遣っては、やけに電話ばかりかけてくるし、中江はキミ子の健康の衰えを気遣....
潮風」より 著者:豊島与志雄
片野さんはうなずいたが、何やら浮かぬ顔色だった。芳枝さんの眉根にも、かすかな苛立ちがあった。 「佐代子!」と彼女は呼びたてた。「お銚子のお代りよ。どしどしつ....
女と帽子」より 著者:豊島与志雄
じゃありませんか。店の造作に関することなんでしょう。あなたは耳をそばだてながら、苛立ちそして悄気ましたね。 あなたの目についたのでもそれだけあるとすると、陰で....
意欲の窒息」より 著者:豊島与志雄
した焦躁からである。漠然とした不安からである。焦躁不安の余りの意欲の痲痺と神経の苛立ちからである。 病原は根深い。それを根治するには、漠然たる焦躁不安の原因を....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
を覚えた。晩に彼女がまた往来へ出て来て、思い切って、二人の横に腰をおろすと、彼の苛立ちはさらに激しくなった。それは前夜の光景の反復であった。ローザが一人でしゃべ....
化生のもの」より 著者:豊島与志雄
無意識的に、板倉家の近くを彷徨しました。中にはいって行くことの出来ない自分自身を苛立ちました。その時、板倉家から出て来るHを見かけました。酒に酔ってるらしい彼の....
浅間噴火口」より 著者:豊島与志雄
く、それを李が揶揄するようなこともあったらしい。ところがあの二日とも、別所は妙に苛立ち、李はそれを酷しくやっつけてるのだった。 「李君も少し変ってますからね。」....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
だけのように見えた。つまり、この人はエンマたちの威圧に押されもしないし、反抗的に苛立ちもしなかったのだ。そして、それら外部的な事柄にこだわらずに、問われたことに....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
「その前に、二、三調べたいことがあるんです」 「なんだって」 係長は吃驚して、苛立ちながら云った。 「この際になって、どうして又そんな呑気なことを云い出したん....
活人形」より 著者:泉鏡花
すまい。女|旱はしはしまいし。工手間が懸るんなら破談にするぜ。と不興の体に得三は苛立ちて、「汝、渋太い阿魔だな。といいさまお藤の手を捉うれば、「あれえ。「喧しい....