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若木
「若木〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
若木の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
うようになったある十五六の中学生だった。彼は格別美少年ではなかった。しかしどこか
若木《わかぎ》に似た水々しさを具えた少年だった。ちょうど十日ばかり以前のある午後....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
にして、その父ぞとは思われぬ。令夫人は許嫁で、お妙は先生がいまだ金鈕であった頃の
若木の花。夫婦の色香を分けたのである、とも云うが…… 酒井はどこか小酌の帰途と....
「海異記」より 著者:泉鏡花
磯海。 この一軒屋は、その江見の浜の波打際に、城の壁とも、石垣とも、岸を頼んだ
若木の家造り、近ごろ別家をしたばかりで、葺いた茅さえ浅みどり、新藁かけた島田が似....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
干のない橋がかかっていた。水はきれいで薄曇りの空を逆に映して居り、堀の縁には桜の
若木が並木に植付けてあって、青年団の名で注意書きの高札が立っていた。 「みんな几....
「続獄中記」より 著者:大杉栄
窓から見えるあたりには桜の木は一本もなかった。窓に沿うて並んでいる幾本かの青桐の
若木と、堺が「雀の木」と呼んでいたいつも無数の雀が群がっては囀っている何かの木が....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
った。四日町は、新しい感じがする。両側をきれいな細流が走って、背戸、籬の日向に、
若木の藤が、結綿の切をうつむけたように優しく咲き、屋根に蔭つくる樹の下に、山吹が....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
滑かに美しく、肩に掛けて背に捌き、腰に流したようである。汀は水を取廻わして、冷い
若木の薄もみじ。 光線は白かった。 十六 その艶なのが、女の童....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
額に鉢巻をして居ります……。あれは何の精でございますか?』 『あれは梅の精じゃ。
若木の梅であるから、その精も矢張り少女の姿をして居る……。』 『木の精でも矢張り....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ーチ形の木戸がある。 そこを潜って、あたりを見ながら、芝生を歩って、梢の揃った
若木の楓の下路を、枯れたが白銀の縁を残した、美しい小笹を分けつつ、やがて、地も笹....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
ち焦れた雪の山、私の足は地から生えたように動かなくなった。前には華やかな色の樺の
若木が五、六本、後には暖い鼠色をした早川連嶺が、二重三重と輪廓を画く、その上から....
「娘」より 著者:岡本かの子
潮であることは「スカールの漕ぎ手」室子には一眼で判る。 対岸の隅田公園の桜は、
若木ながら咲き誇っている。室子が、毎年見る墨水の春ではあるが、今年はまた、鮮かだ....
「手風琴」より 著者:小川未明
花が咲くまでに、すさまじいあらしと雪の時節を経なければならないのだ。しかし、この
若木は、無事にそれをしのいで、いくたびも春を迎えて、麗しい花を開くであろう、が、....
「冬のちょう」より 著者:小川未明
の花壇にも、いっぱいで、みつを吸うばかりでなく卵を産みつけたとしたら。たちまち、
若木は坊主となり、野菜の葉は、穴だらけになってしまう。そうなってもちょうをきれい....
「あらしの前の木と鳥の会話」より 著者:小川未明
入りませんでした。それよりも、子供は、二人が、酒を飲んでいる、すぐそばに、かやの
若木が、鉢に植わって、しかもその根が、真っ白に乾いているのを見ました。 ビール....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
伝の墓も京山の墓と一しょにやはり昔に変っていない。ただそれ等の墓の前に柿か何かの
若木が一本、ひょろりと枝をのばしたまま、若葉を開いているのは哀れだった。 僕等....