» 苦る

「苦る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

苦るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
利か。」 「くせえというようで悪いから、皆で、苦生、苦生だよ。」 「さてまたさぞ苦る事だろう、ほうしょは折目|摺れが激しいなあ。ああ、おやおや、五つ紋の泡が浮い....
勝ずば」より 著者:岡本かの子
と共に叫んだ。 「政ちゃん、安心して行って下さい。――あたしあんたと二人分生きる苦るしみと戦い――戦い――戦い――」 あとは泣き声で言葉にまとまりがなかった。....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
復一の人生|一般に対する考えも絶望的なものになって来て、その青寒い虚無感は彼の熱苦るしい青年の野心の性体を寂しく快く染めて行き、静かな吐息を肺量の底を傾けて吐き....
酒中日記」より 著者:国木田独歩
を知りつつも思い切って言いだし得ず、言いだしても争そうことの出来なかったも当然。苦るしい中を算段して、いやいやながらも母と妹《いもと》とに淫酒の料をささげたもこ....
競漕」より 著者:久米正雄
。主将の窪田は黙って笑いながらそれを聴いていた。そして自分も高等学校の時、練習の苦るしさに堪えかねて合宿を逃げ出したが中途でつかまった話なぞして聞かせた。「苦る....
愛読した本と作家から」より 著者:黒島伝治
たり、面白がらせたりする意図で書くのでは、下らない。悲劇になる、痛切な、身を以て苦るしんだ、そのことを喜劇として表現し、諷刺文学として表現して、始めて、価値があ....
」より 著者:黒島伝治
、坐ろうとしなかった。 「坐れ、なんでもないんだ。」 老人は、圧えつけられた、苦るしげな声で何か云った。 通訳がさきに、彼の側に坐った。そして、も一度、前と....
小豆島」より 著者:黒島伝治
近頃になるに従って、百姓の社会的地位、経済的地位が不利になって生活が行きつまって苦るしくなって来ている。それを親爺は理論的に説明することはよくしないが、具体的な....
」より 著者:黒島伝治
れはシベリア土着の百姓だった――徴発されて行く家畜を見て、胸をかき切らぬばかりに苦るしむ有様を、彼はしばしば目撃していた。彼は百姓に育って、牛や豚を飼った経験が....
電報」より 著者:黒島伝治
うも有りがとうさん。」と、おきのは頭を下げた。彼女は若旦那に顔を見られるのが妙に苦るしかった。 翌日の午後、従弟から葉書が来た。県立中学に多分合格しているだろ....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
押していた。たった一本しかない一輪車の車軸は、巨大な麻袋の重みを一身に引き受けて苦るしげに咽びうめいた。貧民窟の向う側は、青い瓦の支那兵営だ。 一輪車は菱形の....
浮動する地価」より 著者:黒島伝治
さく、若者や娘のある家々を歩きまわっていた。 トシエは、家へ来た翌日から悪阻で苦るしんだ。蛙が、夜がな夜ッぴて水田でやかましく鳴き騒いでいた。夏が近づいていた....
老夫婦」より 著者:黒島伝治
とっていた。二十年ばかり前にはそうでもなかったが、近年になるに従って百姓の暮しは苦るしくなっていた。諸物価は益々騰貴するにもかゝわらず、農作物はその割に上らなか....
金の十字架の呪い」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
他の諸国における著名な婦人旅行家の、ダイアナ・ウェルズ夫人であった。彼女自身は暑苦るしく重々しい赤い髪を持ち、熱帯風に美しかった。彼女は新聞記者連が大胆な流行と....
作男・ゴーの名誉」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
様に叫んだ。 「オーわしは何となしに嬉しくなって来る。だが今までわしがどのくらい苦るしんだか、あなたがたに見せてやりたいくらいだ。しかし今わしはこの事件には深い....