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「苦味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

苦味の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
頽廃的な黝ぐろい隈や、キッと結んだ唇の端にちらと泛ぶ皮肉な皺は、何かヒヤリとした苦味のアクセントを、京吉の顔に冷たく走らせて、ふと三十男のようであった。 ハン....
世相」より 著者:織田作之助
。そう思って口入屋の紹介で住込仲居にはいった先がたまたま石田の店であった。石田は苦味走ったいい男で、新内の喉がよく、彼女が銚子を持って廊下を通ると、通せんぼうの....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
う。そこでお六の家の番頭という奴を、きょうは確かに見とどけて来ましたが、小作りの苦味走った男で、顔に見覚えはありませんが、これも唯の町人らしくない奴です。と云っ....
」より 著者:岡本かの子
った。けれども鋭い理智から来る一種の諦念といったようなものが、人柄の上に冴えて、苦味のある顔を柔和に磨いていた。 濃く縮れた髪の毛を、程よくもじょもじょに分け....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
廻る音がして、扉がしずかに開く。そのあとから、ソッと顔が出た。 色の浅ぐろい、苦味の走ったキリリとした顔の持ち主――大蘆原軍医だった。 室内の先客である川波....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
つの方法となって来た。王元之は茶を称揚して、直言のごとく霊をあふらせ、その爽快な苦味は善言の余馨を思わせると言った。蘇東坡は茶の清浄|無垢な力について、真に有徳....
食魔」より 著者:岡本かの子
心をうつろにするうまさがお絹の胸をときめかした。物憎いことには、あとの口腔に淡い苦味が二日月の影のようにほのかにとどまったことだ。この淡い苦味は、またさっき喰べ....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
です。以前は新内の流しを遣っていて、今の商売は巾着切り、そこで綽名を新内松という苦味走った大哥さんに、お金はすっかり打込んでいる。新内松と矢飛白おきん、その頃な....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
らしい素質が怖ろしくなってくるのだ。考えても見給え。あれほど際立った異臭や特異な苦味のある毒物を、驚くじゃないか、致死量の十何倍も用いている。しかも、その仮装迷....
わが町」より 著者:織田作之助
で、あんたと苦労してみたいと言うところが良いじゃないか。もっとも、あんたはどっか苦味走ったところがあるからね、奴さん相当眼が高いよ」 玉堂が言うと、他吉はぷっ....
御萩と七種粥」より 著者:河上肇
合によっては、その反感がいつまでも消えず、時々思い出しては反芻するうちに、次第に苦味を増しさえすることがある。 私のこうした傾向は人並より強いらしく思われる。....
美味放談」より 著者:北大路魯山人
えるの如きがそれだ。なるほど、あれはアメリカの食用がえるなどよりはうまいが、少し苦味がある。ああいうものを食うというのも、食品の不足からおのずとそういうものに手....
鮪の茶漬け」より 著者:北大路魯山人
ない。 お茶の出し方 かける茶は番茶では美味くない。煎茶にかぎる。煎茶の香味と苦味とが入用である。少し濃い目の茶をかけると、調和がとれる。茶が薄くては不味い。....
若鮎の気品を食う」より 著者:北大路魯山人
と粒入れるもよい。 鮎は頭から尾先まで余さず、ひと口かふた口に食う。鮎のわたの苦味は、また格別の風韻が口に美しく残る。流れのにぶい川の鮎は、肉がでぶでぶしてい....
蝦蟇を食べた話」より 著者:北大路魯山人
シャキシャキしていて、かしわの抱き身などより美味い。ただし、どういうものか、少し苦味がある。 「この苦いのはどうも少しおかしいが……」 と言って、例の常食論者....