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「苦杯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

苦杯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
正義と微笑」より 著者:太宰治
の星だけを知っていた。あの星を、ほしいと思っていた。それでは、いつか必ず、幻滅の苦杯を嘗めるわけだ。人間のみじめ。食べる事ばかり考えている。兄さんが、いつか、お....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
七年間、われらを愚弄し抜いてまいった煩悩夜盗だ。きゃつのためには、お互いたびたび苦杯を舐めさせられたことは、覚えがあろう。江戸に岡っ引なしとまで言われて――それ....
厨房日記」より 著者:横光利一
義をこの世に感じているものなら、今突如として湧き上ったこの胸を刺す諷刺の前で必ず苦杯を舐めているにちがいない。―― こう梶の思っているとき「しッ、しッ」と小さ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
れもいなかったではないか。 否、闇《やみ》の中にある「あの人」が。 第七編苦杯の最後の一口 一 地獄の第七界と天国の第八圏 結婚の翌日は寂しいもの....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
せり合いだという事の本質を知らないのである。そのために、過去の四百レースでいつも苦杯をなめていながら。はじめて古橋という国産のせり合いの特級品を持ちながら。 ....
暗号数字」より 著者:海野十三
謹聴すると誓ったが、これから思うと、その事件において帆村は、よほど、にがにがしい苦杯を嘗めたものらしい。 以下、帆村の物語となる。 秘密の人 恐らく、....
「プラーゲ旋風」の話」より 著者:山下博章
利を否認せよとの指令を出すものだから、プラーゲに挑戦したら、一たまりもなく惨敗の苦杯を喫した。然るに協会では何等為す所もなく之を傍観している。こんなことでは協会....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
か」 「……おまえにはまだ胆にこたえまい。しかし、わしは今、心魂に徹して、半生の苦杯をなめ味わっているのだ……この病褥の中で」 「ハハハハハ、つまらんことをいっ....
三国志」より 著者:吉川英治
。 呂布は恨みがましく、はったと眼を天の一方にすえて、 「ううむ、よくもおれに苦杯をのましたな。おれがいかに陳登父子を寵用して目をかけてやったか、誰もみな過分....
三国志」より 著者:吉川英治
にのこる赤壁の会戦、長く世に謳われた三|江の大殲滅とは、この夜、曹操が味わった大苦杯そのものをいう。そしてその戦場は、現今の揚子江流域の湖北省|嘉魚県の南岸北岸....
三国志」より 著者:吉川英治
ですが、あの曹操にしてすらそうでした。いわんや呉の国へどうして居着くものですか。苦杯をなめた曹操も後に大きな悔いを抱きました。今彼を殺さなければ後には呉の大害と....
三国志」より 著者:吉川英治
、帝は洛陽へ還幸した。 ときに孔明は漢中にあり、彼としてはかつて覚えなき敗軍の苦杯をなめ、総崩れの後始末をととのえていた。 すでに、各部隊のあらかたは、続々....
私本太平記」より 著者:吉川英治
の猛攻撃がツケ入る好機となっている。 義貞は懲りていた。 さきの箱根、足柄の苦杯を彼は忘れ難い。あのときの戦略的な“読ミ”の不足は大将として恥ずべきだった。....
柳生月影抄」より 著者:吉川英治
たちの周りの者は色を失った。これは切腹にも当る不敬だと思ったからである。家光は、苦杯を嘗めたように唇を歪め、不快な色に漲った底から、今にも何か、峻烈な言葉が吐き....
黒田如水」より 著者:吉川英治
信長も、こんどの難局にはここ数十日、深刻な悩みを嘗めたことは確かである。 この苦杯を主人につきつけた荒木村重の謀反にたいして、彼が心の底から憤怒を抱いているこ....