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「苧殻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

苧殻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
ひらめいて、黒い人影や白い浴衣が薄暗いなかに動いていた。お時も焙烙《ほうろく》に苧殻《おがら》を入れて庭の入り口に持ち出した。やがて火打ちの音がやむと、お時の手....
三浦右衛門の最後」より 著者:菊池寛
に違いない。 戦国時代の文献を読むと、攻城野戦英雄雲のごとく、十八貫の鉄の棒を苧殻《おがら》のごとく振り回す勇士や、敵将の首を引き抜く豪傑はたくさんいるが、人....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
掛けてより五遍になる。今年の秋は久し振で、亡き母の精霊《しょうりょう》を、東京の苧殻《おがら》で迎える事と、長袖の右左に開くなかから、白い手を尋常に重ねている。....
野分」より 著者:夏目漱石
果《はて》で、どんな職業をしようとも、己《おの》れさえ真直であれば曲がったものは苧殻《おがら》のように向うで折れべきものと心得ていた。盛名はわが望むところではな....
田舎教師」より 著者:田山花袋
、容体の悪いのが目に立った。 やがて盂蘭盆がきた。町の大通りには草市が立って、苧殻や藺蓆やみそ萩や草花が並べられて、在郷から出て来た百姓の娘たちがぞろぞろ通っ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
休業だ。八月七日は村の七夕、五色の短冊さげた笹を立つる家もある。やがて于蘭盆会。苧殻のかわりに麦からで手軽に迎火を焚いて、それでも盆だけに墓地も家内も可なり賑合....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
今戸焼の土鉢に蒔きつけた殻の青々と芽生えて、宛ら早苗などの延びたらんようなるに、苧殻でこしらえた橋、案山子人形、魚釣りなんどを按排し、橋の下なる流れには金魚、緋....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
届かず。 それを防ぐには、伐り倒すばかりであります、と言って、それほどの大木を苧殻《おがら》を切るようなわけにはゆきません。 いよいよ杉山に火がうつった時、....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
のようなその羅紗の、毛くさい破帽子などは脱いで、菅笠を被れという。そんで、へい、苧殻か、青竹の杖でもつくか、と聞くと、それは、ついてもつかいでも、のう、もう一度....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
大まかに掻捜して、御飯、お香こう、お茶の土瓶まで……目刺を串ごと。旧の盆過ぎで、苧殻がまだ沢山あるのを、へし折って、まあ、戸を開放しのまま、敷居際、燃しつけて焼....
変災序記」より 著者:田中貢太郎
るなり骨のないようによろよろとなった。私はあがって往ってその女を肩にかけた。女は苧殻のように軽かった。私はその女を墓地の垣根の下へ伴れて往って、煉瓦に腰をかけさ....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
と寺から抜け出してじぶん一人で墓まいりをし、家へもどって夕闇の門口でしょんぼりと苧殻《おがら》を焚いていると、ついその前を町駕籠がとおったが通りすがりになにかチ....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
、物の見事に漏斗形《じょうごがた》に逆さに吹き上げた。面倒だから手を離した。傘は苧殻《おがら》のように背後へ飛んだ。あとから勘次が来ると閃くように気がついた藤吉....
勘平の死」より 著者:岡本綺堂
この火箸は馬鹿に重いんですね。 長次郎 鉄で出来ているから重いのは当りまえだ。苧殻の箸じゃあねえ。その積りでしっかり持て。 小僧三 餓鬼に苧殻ならいいが、餓鬼....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
た。あきらめさえすればよかった。彼からみるとその程度の幸福を望んでいる雲水たちは苧殻の屑のように思えた。人間ではなかった。それに引較べて自分の中に籠っている慾望....