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苺
「苺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
苺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ぐった。そして少し恨むような目つきをして、始めてまともに葉子を見た。口びるまでが
苺《いちご》のように紅《あか》くなっていた。青白い皮膚に嵌《は》め込まれたその紅....
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
こんな音がするかと思う、――話は違うが、(ろうたけたるもの)として、(色白き児の
苺くいたる)枕の草紙は憎い事を言った。 わびしかるべき茎だちの浸しもの、わけぎ....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
に源助は云うのであった。 青梅もまだ苦い頃、やがて、李でも色づかぬ中は、実際|
苺と聞けば、小蕪のように干乾びた青い葉を束ねて売る、黄色な実だ、と思っている、こ....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
それを幸運として受取ったものかどうか。とにかく僕は少女の腕を執って、歩きだした。
苺園ホテルというのが、この坂を登って向うへ下ったところにある筈だったから。 ホ....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
彼にも聞き覚えのある旋律であったではないか。それはいま小学生でも知っている「赤い
苺の実」の歌だった。この日比谷公園から程とおからぬ丸ノ内の竜宮劇場では、レビュウ....
「蠅男」より 著者:海野十三
な体躯の持ち主は、頤紐をかけた面にマスクもつけず、彼の大きな団子鼻は寒気のために
苺のように赤かった。なににしても、たいへんな頑張り方だった。 村松と帆村は、監....
「人造人間戦車の機密」より 著者:海野十三
鉄製の人造人間に命令電波をさっと送れば、たちまち鋼鉄の戦車となって、貴様たちを、
苺クリームのように潰し去るであろう。わが機械化兵団の偉力を、今に思いしらせてやる....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
い寄ったと思うと、着物の裾を銜えて引っ張って裂いてしまって、直ぐに声も出さずに、
苺の木の茂って居る中へ引っ込んだ。娘は直ぐに別荘に帰って、激した声で叫んだ。「喰....
「現代若き女性気質集」より 著者:岡本かの子
ん。」 ○「一生のうち一度だけ、巴里は死ぬほど行って見度いわ。」 ○フレッシュの
苺クリーム、ブライトな日傘、初夏は楽しい。 ○折角ハイキングに行っても、帰って来....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
のすがたはもうありませんでした。 おかあさんが子どもをさがしますと、道のそばで
苺を摘んでおりました。しかしておかあさんはその
苺をだれがそこにはやしてくださった....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
れた。 彼女は、ズカズカ入り込んで来て、法水に声をかけた。 「それなら、私が黒
苺を貰ったとしたら、どうするんですの、曰く、|正義は遂行されん――でしょう。私、....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
マーガレットは爪磨きをして二日目の彫刻的な指先で甘える。 「そのトーストを一枚、
苺のジャムを塗ってね」 男の忠実に働く手とカフスが六つばかりの銀器に映る。 ....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
水をこぼしてから小鳥のからだを、そのむくろを庭へ埋めにもって行った。そしてそれを
苺の木の根元に埋けた。見つかることは決してあるまい。私はその
苺の木の実を毎日食う....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
お帰りなさい――) そう言ってくれるのだと、身勝手ばかり考えて、 松の根もとに
苺が見える、 お前末代わしゃ一期。…… 一期末代添おうとしたに、 松も
苺も、もう....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
。砂糖もなく、菓子もなく、果物もない、この土地の子供は気の毒なものだ。夏の野に木
苺をもとめ、秋の山に木通や葡萄の蔓をたずねて、淡い淡い甘味に満足しているのである....