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茅葺き
「茅葺き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
茅葺きの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、多左衛門の墓まいりに行った帰り道に、淀橋の町はずれを通ると、その頃のここらには
茅葺きの家がたくさんありました。その
茅葺きの一軒の家で、庭の梅の実を落としている....
「悠々荘」より 著者:芥川竜之介
った。石に嵌めこんだ標札には「悠々荘」と書いてあった。が、門の奥にある家は、――
茅葺き屋根の西洋館はひっそりと硝子窓を鎖していた。僕は日頃この家に愛着を持たずに....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
く変った。むかしの名所|図絵や風景画を見た人はみな承知であろうが、大抵の温泉宿は
茅葺き屋根であった。明治以後は次第にその建築もあらたまって、東京近傍にはさすがに....
「風に乗って来るコロポックル」より 著者:宮本百合子
霧、明日も霧。 潮気を含んで、重く湿っぽいガスは、特有のにおいを満たしながら、
茅葺き小屋のらんまで透して、湿らせる。 ちょうど、梅雨期のような不愉快さ、不健....
「職業の苦痛」より 著者:若杉鳥子
、ナアニ、直き向こうの小さい家です』と親切に教えて呉れました。 日当たりの悪い
茅葺き屋根の家です。御免下さいとおとなえば、若い病みあがりらしい妻君が、蒼い顔を....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
さんが前の人車に、わたくしが後の人車に乗せられて、木賃宿のようなきたない旅籠屋や
茅葺き屋根の下に小さい床几を出している氷屋などがならんでいる、さびしい停車場前を....
「氷河」より 著者:黒島伝治
た。「みんな、自分勝手なことばかりしか考えてやしないんだ!」 ――彼は、内地の
茅葺きの家を思い浮べた。そこは、外には、骨を削るような労働が控えている。が、家の....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
は既に真夜中に近づいていた。 夜中の満月は空にかかりその蒼茫とした月光の下に、
茅葺きの小屋が幾百となく建て連らなっている一劃がすなわち土人の部落であった。侵入....
「兜」より 著者:岡本綺堂
。さりとて、往来にさまよっていては人目に立つと思ったので、彼は円通寺に近い一軒の
茅葺き家根をみつけて駈け込んだ。 「彰義隊の者だ。日の暮れるまで隠してくれ。」 ....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
かい自分の父を呪わずにはいられなかった。 火の手はいよいよ燃えあがって、小さい
茅葺きの家は見る見る焼け落ちてしまった。その火に照らされて、小さいながらも極めて....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
をしつつ私の泊って居ります茅屋の方へ一緒に参りました。私の泊って居る所は竹の柱に
茅葺き屋根というごく粗末な家でその向う側にもまたそんなような家があります。それは....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
繞っているきれいな流れの側に坐りこみ、ざぶざぶと脛の泥を洗っていた。
山月庵。
茅葺きの合掌に、木額の白い文字が仰がれる。燕の子が、そこらに白い糞をちらし、ピチ....
「父の出郷」より 著者:葛西善蔵
それから数株の梅の老木のほかには何一つなく清掃されている庭へ出て、老師の室の前の
茅葺きの簷下を、合掌しながら、もはや不安でいっぱいになった身体をしいて歩調を揃え....