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「草の汁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

草の汁の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大川の水」より 著者:芥川竜之介
ろう。ああ、その水の声のなつかしさ、つぶやくように、すねるように、舌うつように、草の汁をしぼった青い水は、日も夜も同じように、両岸の石崖《いしがけ》を洗ってゆく....
秘密の風景画」より 著者:佐左木俊郎
《は》まるのだった。そして注意して見ると、そんな時に限って、美佐子の洋服には青い草の汁がついていたり泥がついていたりした。一体姉はどんなところに務めているのだろ....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
魔の舌」と呼ぶ相だ、何となく気味の悪い名前である、若しや余の刺された兇器にも此の草の汁を塗ってあったではなかろうか、爾なくば創口の痛みと全身の痺れ工合が到底説明....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
る。暫くして自分の排出する老廃物の中毒で次第に繁殖力が衰えてゆくが、また新しい枯草の汁の中に持ってゆくと再び活気づいて来る。かくして次々と煮汁を新しくしてゆけば....
人間レコード」より 著者:夢野久作
れる。それから十分ばかりしてコカインと、安息香酸と、アイヌの矢尻に使うブシという草の汁のアルカロイドの少量を配合した液を注射すると、本人は意識しないまま、脳髄の....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
仁右衛門が重い口で。 訓導は教うるごとく、 「第一水が悪い。あの、また真蒼な、草の汁のようなものが飲めるものかい。」 「そうかね――はあ、まず何にしろだ。こっ....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
れだけ分入るのさえ、樹の枝にも、卒都婆にも、苔の露は深かった。……旅客の指の尖は草の汁に青く染まっている。雑樹の影が沁むのかも知れない。 蝙蝠が居そうな鼻の穴....
源氏物語」より 著者:紫式部
憐で色が白くて、身丈がすんなりとして柳の木を削って作ったような若君である。頭は露草の汁で染めたように青いのである。口もとが美しくて、上品な眉がほのかに長いところ....
山の手の子」より 著者:水上滝太郎
ちのするように青い柔かい茎を噛《か》んでも見た。しくしくと冷めたい酸《す》っぱい草の汁《しる》が虫歯の虚孔《うろ》に沁み入った。 こうしたはかない子供心の遣瀬....
山椒魚」より 著者:岡本綺堂
一刹那――むらむらとそんな料簡が起こったのでしょう。ゆう飯の食い物のなかにその毒草の汁をしぼり込んで、兼子を殺そうと企てたのです。」 「そうして、自分も一緒に死....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
さながら大蔵経を写しにかかる行者のごとく、端然と洞穴にこもって、自分の血とぎらん草の汁へ筆をぬらしはじめた。 そして、竹屋三位が鳴門水陣の線を引きかけてある、....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
剣山の姿がどっしりと沈んで見えた。 甲賀世阿弥のいる山だ。 全身の血とぎらん草の汁をしぼって、かれが孜々と書き綴っていたものは、もうどの辺まで進んでいるか?....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
かけであった鳴門水陣の一帖は、その後、かれが剣山で落し、甲賀世阿弥の血汐とぎらん草の汁に染まって、転々、今では周馬のふところの裡にある。 で――周馬は怖れ気も....