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草深い
「草深い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
草深いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高野聖」より 著者:泉鏡花
ら檜《ひのき》の裏を抜けた、岩の下から岩の上へ出た、樹《き》の中を潜《くぐ》って
草深い径《こみち》をどこまでも、どこまでも。
するといつの間にか今上った山は過....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
なにか手がかりになるような拾い物はないかと、一応はそこらを見まわしたが、何分にも
草深いので探すことは出来なかった。ともかくも地つづきの百姓家へたずねて行って、そ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
れねえような不義理をした訳もあるめえに、折角売れ出した娘を無理に引き摺って、なぜ
草深いところへ引っ込む気になったのか。どうしてもおめえ達には心当りがねえんだね」....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
か、またはもう二三年も前だろうと思われますが、そのころこの周辺は今よりも更に更に
草深いところであって、其の当時、どうして人間が住むことが出来たろうかと、寧ろ不思....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
びたので、墓の在所も久しく不分明であったが、明治二十七年に至って再び発見された。
草深い土の中から掘り起したもので、五輪の塔とは云うけれども、地・水・火の三輪をと....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
乗って出ると、路を迷ったものとみえて、行けども行けども先発の従者に逢わないので、
草深い森の奥へ踏み込んでしまった。 そのうちに日が暮れかかると、草むらから幾人....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
のを指しました。 「うん。あれが門だな。よォし、駈け足だッ」 私達二人は夢中で
草深い坂道を駈けあがりました。 「門は締っているぞ」 「どうしましょう」押しても....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
寄った。 「いや、御苦労。」 と一基の石塔の前に立並んだ、双方、膝の隠れるほど
草深い。 実際、この卵塔場は荒れていた。三方崩れかかった窪地の、どこが境という....
「池袋の怪」より 著者:岡本綺堂
んでその蛙を取捨てさせた所が、不思議にもその翌晩も飛び上る、その翌々晩も這上る。
草深い麻布の奥、元より庭も広く、池も深く、木立も草叢も繁茂っているから、夏季にな....
「離魂病」より 著者:岡本綺堂
を過ぎた頃にそこを出た。今と違って、そのころの青山は狐や狸の巣かと思われるような
草深いところであったが、それでも善光寺門前には町家がある。西岡は今やその町家つづ....
「月の夜がたり」より 著者:岡本綺堂
梶井は今まで下町に住んでいたので、蛇などをみて珍しそうに騒ぐのだろうが、ここらの
草深いところで育った僕たちは蛇や蛙を自分の友達と思っているくらいだ。なんだ、つま....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
ら、 「姉御、どうか許して呉れ。如何しても一度江戸へ行って来ねば相成らぬで」 「
草深い田舎に飽いてで御座んすか。いや、私という者に愛想が尽きて、お逃げ出しで御座....
「丹那山の怪」より 著者:江見水蔭
人まで数え込んだのであろう」と純之進は格別問題にしなかった。 「さて明日からは、
草深い田舎を御巡検で、宿らしい宿は今宵が当分の御泊納め。どうか御ゆるりと」 庄....
「父の怪談」より 著者:岡本綺堂
しんだ。 しかし最初のあいだは、誰もそれを怪異とは認めなかった。邸内があまりに
草深いので、こんな事も出来するのであるというので、大勢の植木屋を入れて草取りをさ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
家のやはり内田という農家に三人の男の子が生れた。総領は児供の時から胆略があって、
草深い田舎で田の草を取って老朽ちる器でなかったから、これも早くから一癖あった季の....