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草色
「草色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
草色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
く空いっぱいにはだかって、本牧《ほんもく》の沖合いまで東京湾の海は物すごいような
草色に、小さく波の立ち騒ぐ九月二十五日の午後であった。きのうの風が凪《な》いでか....
「或る女」より 著者:有島武郎
床の間には幅物《ふくもの》一つ、花活《はない》け一つ置いてなかった。その代わりに
草色の風呂敷《ふろしき》に包み込んだ衣類と黒い柄《え》のパラソルとが置いてあった....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
もせず、袖《そで》に継《つぎ》のあたった、黒のごろの半襟《はんえり》の破れた、千
草色《ちぐさいろ》の半纏《はんてん》の片手を懐《ふところ》に、膝を立てて、それへ....
「地球を狙う者」より 著者:海野十三
ながら、博士の胸をおさえてみた。すると、思いがけなく、博士の弾丸傷のところから、
草色のどろどろした粘液がぴゅうととびだしてきた。僕たちはあっといって、博士のそば....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
しな、厭な色だ。」 「へへい、」と頓興な、ぼやけた声を出して、め組が継の当った千
草色の半股引で、縁側を膝立って来た――婦たちは皆我を忘れて六畳に――中には抱合っ....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
るわ。どぶ酒に酔いしれたような、うぬが顔の色を、青丹よし、奈良漬けの香も嗅げぬ若
草色に蒼ざめてくれるわ!」 相も変らぬ駄洒落を飛ばして、きっと睨みつけると、あ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
ると、その踞ったものは、顔も上げないで俯向いたまま、股引ようのものを穿いている、
草色の太い胡坐かいた膝の脇に、差置いた、拍子木を取って、カチカチと鳴らしたそうで....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
跨いで、腰掛けながら、うっかり聞惚れていた亭主で、紺の筒袖にめくら縞の前垂がけ、
草色の股引で、尻からげの形、にょいと立って、 「出ないぜえ。」 は、ずるいな。....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
厚く入れた薄汚れた棒縞の広袖を着て、日に向けて背を円くしていたが、なりの低い事。
草色の股引を穿いて藁草履で立っている、顔が荷車の上あたり、顔といえば顔だが、成程....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
蒸す頂に人ありて、目の下に声を懸けた、樵夫と覚しき一個の親仁。面長く髪の白きが、
草色の針目衣に、朽葉色の裁着穿いて、草鞋を爪反りや、巌端にちょこなんと平胡坐かい....
「露肆」より 著者:泉鏡花
の襟の剥げた、袖に横撫のあとの光る、同じ紺のだふだふとした前垂を首から下げて、千
草色の半股引、膝のよじれたのを捻って穿いて、ずんぐりむっくりと肥ったのが、日和下....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
た声で、 「お前さん、御免なさいまし。」 敷居際に蹲った捨吉が、肩のあたりに千
草色の古股引、垢じみた尻切半纏、よれよれの三尺、胞衣かと怪まれる帽を冠って、手拭....
「西航日録」より 著者:井上円了
戦場にして、当時戦勝記念に建立せし寺院、今なお存せり。 車行数里入田園、処処春風
草色喧、欲問一千年古跡、牧童教我杏花村。 (車で行くこと数里にして田園に入る。と....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ば野草なお青色を帯びて、春郊のごとし。 南阿冬七月、風暖気如春、喜望峰頭路、行看
草色新。 (阿南部の冬七月、風は暖かく陽気は春のようである。喜望峰のあたりの道に....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
女の子が私のオロチョンの鞄を見るとたちまち立ち停って笑い出した、身体じゅうで。露
草色のくるくるとした瞳であった。何か見たような顔だと思った。 「いいだろう、これ....