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荊棘
「荊棘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
荊棘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
時に、彼を窘《くるし》めたものは、独りこの猶太人ばかりではない。あるものは、彼に
荊棘《いばら》の冠《かんむり》を頂《いただ》かせた。あるものは、彼に紫の衣《ころ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
時には、それから結果される影響などは考えてはいられない筈だ。自分の罪に苦しんで、
荊棘の中に身をころがして、悶えなやんだ聖者フランシスが、その悔悟の結果が、人類に....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
だして雨霧に覆われてからは、ただ足にまかせて密林のなかを彷徨いはじめた。泥濘は、
荊棘、蔦葛とともに、次第に深くなり、絶えず踊るような足取りで蟻を避けながら、腰ま....
「観画談」より 著者:幸田露伴
を点じようとしているのであった。四、五本のマッチを無駄にして、やっと火は点いた。
荊棘か山椒の樹のようなもので引爬いたのであろう、雨にぬれた頬から血が出て、それが....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
り、ふッくりした頬も肉落ちて、裾も袂もところどころ破れ裂けて、岩に縋り草を蹈み、
荊棘の中を潜り潜った様子であるが、手を負うた少年の腕に縋って、懐紙で疵を押えた、....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
て耳馴れぬもの、眼馴れぬものは頭から疑われる。 で、われ等の仕事が、前途幾多の
荊棘に阻まれるべきは、元より覚悟の前であらねばならぬ。われ等の啓示は往々にして、....
「鹿狩り」より 著者:国木田独歩
らなかった。 さていよいよ猟場に踏み込むと、猟場は全く崎の極端に近い山で雑草|
荊棘生い茂った山の尾の谷である。僕は始終今井の叔父さんのそばを離れないことにした....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
一刻も早く奥地地帯へ踏み込もうと土人軍どもを鞭韃した。しかしどのように鞭韃しても
荊棘に蔽われた険阻の道をそう早く歩くことは出来なかった。 二十五....
「地上」より 著者:島田清次郎
子は親しみの少ない継母と義理の妹達とが、彼女の失敗を牙を磨いて待っている恐ろしい
荊棘の床に帰らねばならなかった。和歌子は暗い街の十字街に立ち止まって家へ帰りたく....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
りて森にいる。ひいらぎバーベリ等の極寒地方に生ずる灌木は、いやがうえに密生して、
荊棘路をふさいでは、うさぎの足もいれまじく、腐草山をなしては、しかのすねも没すべ....
「書記官」より 著者:川上眉山
を切り開きて、わざとならず落しかけたる小滝あり。杣の入るべき方とばかり、わずかに
荊棘の露を払うて、ありのままにしつらいたる路を登り行けば、松と楓樹の枝打ち交わし....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ましょう。しかしその華やかにして遠慮がちな新婚生活は、一心同体となって勇ましくも
荊棘多き人生行路を突き進まんには、余りに果なき生活であります。 恋愛は、男女対....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
立派なお家を御相続遊ばされる輝かしいお身柄。一方は生れながら暗い運命を背負って、
荊棘の道を辿らねばならぬ貧しい私生児。 花の児には父君にあやかるようにと、旦那....
「深夜の客」より 著者:大倉燁子
タイピストになって働く決心をしました。働いて自活します。針の蓆に座っているより、
荊棘の道を勇敢に掻き分けて進みます。養父に云わせると私の父は気狂いだったそうです....
「俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
としても自然に出ます。清新な句ももとめずともできます。ゆめゆめ近道をしようとして
荊棘にひっかかることをしてはなりません。私が卑近な平易な句作法をお話しいたしたこ....