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荒す
「荒す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
荒すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
わしい――何となく漂泊流離の境遇、落ちゅうどの様子があって、お最惜い。そこを鼠が
荒すというのは、女像全体にかかる暗示の意味が、おのずから人の情に憑ったのかも知れ....
「火星兵団」より 著者:海野十三
聞は、たいへん大きな見出しで、でかでかと書きたてた。
「怪人、銀座に現れ、薬屋を
荒す」
「怪事件におびえた昨夜の銀座通」
「共犯者の少年、逮捕さる」
など、い....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
れば、接吻出来たんだ。しかし、あの場合、あの科白ぬきで接吻するのは、演出のキメが
荒すぎる。唐突すぎるからね。しかし、唐突すぎるのがなぜいけないんだろう……? つ....
「山の湯雑記」より 著者:折口信夫
ているのに、苗代田はまだ水を張ったまま、豆も作らずにある。豆で思い出すが、此畠を
荒すと謂われている郭公が、まだ時季は過ぎないのに、初めから鳴いた事がない。此辺の....
「勲章を貰う話」より 著者:菊池寛
ノウィッチは、いちばん左翼にいて、機関銃隊を指揮していた。敵の砲弾は一渡り戦列を
荒すと、機関銃隊を最後の目標とした。操縦者がみるみるうちに倒れた。イワノウィッチ....
「火の扉」より 著者:岸田国士
ているうえに、窓ガラスのわれたのへ新聞をはりつけてあるというふうな、いかにも住み
荒すだけ住み荒した二階建の邸があつた。 赤レンガの門柱に、おそらくあとではめか....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
う!」 「ワ――ッ」と数十人が屋敷を目掛け、無二無三に走って行った。 「人使いが
荒すぎる」 「役にも立たないお客さんなどを、泊めて置くのが間違っている!」 「客....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
込まれたような気がする。これは昔の
記憶だろうか。我身を襲う物狂だろうか。都々を
荒す、恐ろしい夢の姿が、あれが皆我身であった
だろうか。今も我身だろうか。今後も....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
様も幽霊も昆虫も草木も、皆|悉く昇天するかも知れない。 さて、私もまた、自然を
荒すであろうところのデイゼルエンジンの小刻みの近代的な震動と、その事務長であった....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
私は呆れて泣きもしませんでした。お兄様は立上って、 「わるかったね。よくそこらを
荒す犬が来たから、机の上の物を手当り次第に投げたら、運わるく赤インキだった。新し....
「ながうた勧進帳」より 著者:酒井嘉七
三月五目、河原崎座で初めて上演された際に、作曲されたものだそうでございます。劇の
荒すじは、次の様でございます。 頼朝公と不和になられた義経公が、弁慶と亀井、伊....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
むしろ無難だ。 上野で危害をうけるのはアベックだそうだ。アベックはジャングルを
荒すばかりで、一文のタシにもならないからだ。それにしても音に名高い上野の杜でラン....
「帝銀事件を論ず」より 著者:坂口安吾
ラ爆撃を逃げて麦畑へ飛びこんで俯伏すと、この野郎、国民のイノチのもとの麦畑を踏み
荒すとは何事か、と私につかみかかってトッチメる奴がある。畑の持主の農夫じゃなくて....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
対立し、目の敵の間柄であるから、日本が工業をおこしてZ国の東洋市場をいくらかでも
荒すというなら不賛成ではない。そこで日本とX国が密々に交渉をはじめた。 けれど....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
説の通りですわ。あの方がロッテナム夫人を後援したのは、日本中の貴婦人方の玉の肌を
荒すのが目的だったかも知れません。生れつきのイタズラ好きなんです。留守番の老人は....