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荒れ模様
「荒れ模様〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
荒れ模様の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河童」より 著者:芥川竜之介
ゲエル家《け》の客間を飛び出しました。それはちょうど家々の空に星明かりも見えない
荒れ模様の夜です。僕はその闇《やみ》の中を僕の住居《すまい》へ帰りながら、のべつ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
あいかわらず》鬱勃《うつぼつ》として怒が燃え上っていた。が、それにも関らず、この
荒れ模様の森林には、何か狂暴な喜びを眼ざまさせる力があるらしかった。彼は草木や蔦....
「二百十日」より 著者:夏目漱石
。 「ねえ。少し御山が荒れておりますたい」 「おい君、いくら荒れても登る気かね。
荒れ模様なら少々延ばそうじゃないか」 「荒れればなお愉快だ。滅多《めった》に荒れ....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
流す様に黒く、爾して雲の割れ目から時々電光が閃き、遠い雷の音も聞こえる、是が真の
荒れ模様と云うのだろうと余は気象の事には素人なれど斯う思ったが、後に千八百九十八....
「海底大陸」より 著者:海野十三
って進路を見失わぬようにつとめていた。 そのときであった。偵察機ES一〇一号は
荒れ模様の海面に、奇妙な形をした鋼鉄浮標とも潜水艦ともつかぬものが浮いているのに....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
の上へは強い雨が来た。六日から降り出した雨は夜中から雷雨に変わり、強い風も来て、
荒れ模様は二日も続いた。さて、二日目の夜の五つ時ごろからは雨はさらに強く降りつづ....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
さがったような髪かたち。身丈《みたけ》の長い羽織なので、田舎風に見える。暗い冬の
荒れ模様の空の下を奇妙な列が行く。誰も何とも思わない。こうした行列を怪しむものは....
「廃墟から」より 著者:原民喜
はほんの数秒間の出来事であったのだ。 私はひどい下痢に悩まされだした。夕刻から
荒れ模様になっていた空が、夜になると、ひどい風雨となった。稲田の上を飛散る風の唸....
「長崎の印象」より 著者:宮本百合子
合わせているぎり。海岸に沿うて、汽車は山腹を潜っては出、潜っては出、出た時にやや
荒れ模様の海の景色が右手に眺められる。私共は、今日雨降りで却ってよかったと思った....
「死者の書」より 著者:折口信夫
なり、夕暮れに次いで、夜が来た。 茫然として、姫はすわって居る。人声も、雨音も、
荒れ模様に加って来た風の響きも、もう、姫は聞かなかった。 南家の郎女の神隠しに遭....
「風立ちぬ」より 著者:堀辰雄
ってから、二三日すると、急に夏が衰え出した。 ※ 九月になると、すこし
荒れ模様の雨が何度となく降ったり止んだりしていたが、そのうちにそれは殆んど小止み....
「菜穂子」より 著者:堀辰雄
うな漠然とした不安に戦《おのの》きながら、信州の南に向ったのは、丁度二百廿日前の
荒れ模様の日だった。ときどき風が烈しくなって、汽車の窓硝子《まどガラス》には大粒....
「わが血を追ふ人々」より 著者:坂口安吾
満潮の海を泳いで上つてきた。鉢巻をしめて頭上に松明をさしこみ、これに火をともして
荒れ模様の夜の海を半刻あまりも泳いできたのである。神火が荒れ海に燃えてゐるといふ....
「審判」より 著者:カフカフランツ
あり、それゆえ、Kがその案内役に選ばれたのは当然のことであった。 雨の激しい、
荒れ模様の朝だったけれども、Kはこれから控えている一日のことに腹をたてながら、七....
「情鬼」より 著者:大倉燁子
たのを幸に、急に墓参を思い立った。 時候のいい頃だからいいようなものの、朝から
荒れ模様であった空が、午後には暴風雨となった。荒れ狂う風雨の音を聞くと出足もしぶ....