荒削り[語句情報] »
荒削り
「荒削り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
荒削りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
しへと急いだ。 そこまでは、もう一町もなかった。見ると、川の左に聳《そび》える
荒削りされたような山が、山国川に臨むところで、十丈に近い絶壁に切り立たれて、そこ....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
明智光秀が信長を殺した。信長が死んだのは用事が終ったからであります。それで秀吉が
荒削りに日本の統一を完成し、朝鮮征伐までやって統一した日本の力を示しました。そこ....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
いませんからなあ」 小初は電球を捻って外出の支度をした。箪笥から着物を出して、
荒削りの槙柱に縄で括りつけたロココ式の半姿見へ小初は向った。今は失くした日本橋の....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
めて居る。不図白木の鳥居が眼についた。見れば、子供が抱えて行って了いそうな小さな
荒削りの祠が枯草の中に立って居る。誰が何時来て建てたのか。誰が何時来て拝むのか。....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
が使ってあるのと、そのころは一切|鉋を用いず、チョウナを使って削ったのだという、
荒削りのあとに、古い時代のおのずからなる持味がうかがわれただけだ。引札の説明では....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
われるが、この芝居には、そういったようなデリケートな細工などは一切抜きにして全く
荒削りの嘆きの天使ができあがっているようである。同じようなわけで、後に教授が道化....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
友達のフェルナンドが設計して呉れたモダニズムの室内装飾具は素っ気ないマホガニーの
荒削りの木地と白真鍮の鋭い角が漂う闇に知らん顔をして冷淡そのものを見るようだ。フ....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
造られた風窓から物凄い海の上に一条の輝かしい光線を射出した。向い合せに坐っていた
荒削りの食卓越しに、ごつごつした手を握り合せながら、彼等は火酒の盃に酔って、お互....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
しかし、ここはずっと大がかりに出来た岩屋で、両側も天井ももの凄いほどギザギザした
荒削りの巌になって居ました。しかし外面から見たのとは違って、内部はちっとも暗いこ....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
、憤怒、憎悪、反抗、これがユダの肖像に、行き渡っている特色であった。全体が野太く
荒削りで、近代的に畸形であった。力が恐ろしく強かった。 「これは極端と極端だ、両....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
理店であった。終戦後大阪の町々に売出した喫茶店は、たいてい俄づくりのバラックで、
荒削りのいかにもドサクサまぎれに出来たという感じの、味もそっけもうるおいも色彩も....
「江戸川氏と私」より 著者:小酒井不木
を生産する人が、そのような憂をいだくのは当然のことであり、私のような、無頓着な、
荒削りの作品を生産するものが楽観的態度をとるのは当然のことである。然し、江戸川氏....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
」という気になって、技術の慾を離れて自由に思うままを発揮したから、前者に比べると
荒削りではあるが活き活きした生気に富んでおる。文人としての二葉亭の最後を飾るに足....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
畑の中には大きな石がゴロゴロしている。家の廻りには鍬の把、天秤棒、下駄など、山で
荒削りにされたまま軒下に積まれてある。 宗忠は身仕度をして来た、なにか獲物もあ....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
た時、一頭の羚羊が雪渓を横切って八ッ峰の岩崖に其姿を隠したに過ぎなかった。自然の
荒削りのままの舞台は、いつも彼等の上場に因ってのみ私達を満足させるのである。 ....