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「荒廃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

荒廃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
、こんな閑談をかわしながら、狭い往来をぶらぶら歩いて行った。歩くごとに、京の町の荒廃は、いよいよ、まのあたりに開けて来る。家と家との間に、草いきれを立てている蓬....
秋山図」より 著者:芥川竜之介
が、清らかに並べてありながら、冷たい埃《ほこり》の臭《にお》いがする、――やはり荒廃《こうはい》の気が鋪甎《ほせん》の上に、漂っているとでも言いそうなのです。し....
槍が岳に登った記」より 著者:芥川竜之介
て、自分たちの足もとへ来ては、一間に高さが五尺ほどの鼠色の四角な石になっている。荒廃と寂寞《じゃくまく》――どうしても元始的な、人をひざまずかせなければやまない....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
れぞれの用意も想像以外の水でことごとく無駄に帰したのである。 自分はこの全滅的荒廃の跡を見て何ら悔恨の念も無く不思議と平然たるものであった。自分の家という感じ....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
しまって、固い、冷たい、無慈悲な物の積み重なりに過ぎなかった。無際限なただ一つの荒廃――その中に君だけが呼吸を続けている、それがたまらぬほどさびしく恐ろしい事に....
悠々荘」より 著者:芥川竜之介
。それは一つには家自身のいかにも瀟洒としているためだった。しかしまたそのほかにも荒廃を極めたあたりの景色に――伸び放題伸びた庭芝や水の干上った古池に風情の多いた....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
若干の学者によって唱えられたごとく、現在生物の生息する地球の部分は、いつかは一度荒廃して住まわれなくなってしまい、また後に再び生物の住みかとなるであろうという意....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
掛りそうに便なく響が切れて行く光景なれば、のべの蝴蝶が飛びそうな媚かしさは無く、荒廃したる不夜城の壁の崩れから、菜畠になった部屋が露出しで、怪しげな朧月めく。そ....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
より五倍も十倍も過敏になっているだろう。 こう思うと、また、古寺の墓場のように荒廃した胸の中のにおいがして来て、そのくさい空気に、吉弥の姿が時を得顔に浮んで来....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
するばかり、水に咽んだ葉に隠れた。――瞬く間である。―― そこら、屋敷小路の、荒廃離落した低い崩土塀には、おおよそ何百年来、いかばかりの蛇が巣くっていたろう。....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
り、花片ばかり、葉ばかりぞ乱れたる。 途端に海のような、真昼を見た。 広場は荒廃して日久しき染物屋らしい。縦横に並んだのは、いずれも絵の具の大瓶である。 ....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
でてやろうともしなければ、無邪気な輝かしいかれらの眼を覗こうともしなかった。時と荒廃とに任せていた彼の住居は崩れかけて来たので、飢えたる山羊どもは彷徨い出て、近....
星女郎」より 著者:泉鏡花
は、はじめて国の境を出たので、その思出もあったからでしょう。 ちょうど、立場が荒廃れて、一軒家が焼残ったというのも奇蹟だからと、そこで貴婦人が買取って、少い女....
不吉の音と学士会院の鐘」より 著者:岩村透
に於いて、何等かの怪が必ず潜んでいる。よく屋外よりも屋内が淋しいものだというが、荒廃に帰した宮殿の長廊下など、その周囲の事情から壁や柱の色合などへかけて、彼等の....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
兵衛兄弟の豪奢と才気の名残を留めておる。地震でドウなったか知らぬが大方今は散々に荒廃したろう。(八兵衛の事蹟については某の著わした『天下之伊藤八兵衛』という単行....