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「荒蕪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

荒蕪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
手の緩斜《かんしゃ》から前方にかけ、広大な地峡をなしていて、そこは見渡すかぎりの荒蕪《こうぶ》地だったが、その辺をよく注意してみると、峠の裾寄りのところに、わず....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
る書付にもそのことは書いてある。これまで本陣問屋で庄屋を兼ねるくらいのところは、荒蕪を切り開いた先祖からの歴史のある旧家に相違ないが、しかしこの際はそういう古い....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
こんな奔走をはじめたわけではない。これまで庄屋で本陣問屋を兼ねるくらいのところは荒蕪を切り開いた先祖からの歴史のある旧家に相違なく、三百年の宿村の世話と街道の維....
日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
ないかと思っていると、そこからいくらも離れない所には下草の茂る雑木林があり河畔の荒蕪地がある。汽車に乗ればやがて斧鉞のあとなき原始林も見られ、また野草の花の微風....
トコヨゴヨミ」より 著者:田山花袋
社から成べく安く下して貰って来た。 「薬、入りませんか。」 こう言って、かれは荒蕪地の処々にある家に入って行った。一軒から一軒へ行くのに、萱や篠の一杯に繁った....
火星探険」より 著者:海野十三
この赤三角研究団は元気のいい青年たちで編成せられて居り、研究団の本部はアリゾナの荒蕪地《こうぶち》にあった。そこからは遙かにコロラド大峡谷の異観が望見された。 ....
社会時評」より 著者:戸坂潤
蒙ることにする)。約二カ年間窮乏に耐えたスパルタ式訓練をなす、即ちなるべく未墾の荒蕪地を選んで開拓させる。こうやっていつしか愛国愛土の百姓が完成し、それが銘々の....
死者の書」より 著者:折口信夫
相間に、板屋や瓦屋が、交りまじりに続いている。其外は、広い水田と、畠と、存外多い荒蕪地の間に、人の寄りつかぬ塚や岩群が、ちらばって見えるだけであった。兎や、狐が....
尹主事」より 著者:金史良
町の北、丘を越えたところにじめじめした荒蕪地がある。その眞中に崩れかかった一坪小屋がしょんぼり坐っていた。潜戸の傍にか....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
いた。汽車で二十分ほどの所だった。家は停車場からかなり遠くて、田んぼと言われてる荒蕪《こうぶ》地のまん中に孤立していた。セシルはしばしば夜ふけにもどって来た。し....
自転車嬢の危難」より 著者:ドイルアーサー・コナン
は道路から見えたが、その周囲の様子から考えると、だいぶ荒廃している感じであった。荒蕪地の方は、ハリエニシダの花が満開中で、四月の太陽を受けて、黄金色に燦爛として....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
の旅について来たのだ。森のなかをうろついたり、洞穴に身をひそめたり、広い殺風景な荒蕪地に避難したりして、いま私の進捗ぶりに気をつけ、約束を果してくれと言いに来た....
荒蕪」より 著者:犬田卯
は保たず、畑地にあっては、耕土の流亡を免れない場所)それが実は官有地であって、『荒蕪地』という名目のもとに大蔵省の所管に属していたとかで、そしてそれだけなら何も....
」より 著者:犬田卯
政府から交付金ひったくるにはもってこいだっぺで。」 事実、小学校を改築したり、荒蕪地の開墾を村民にすすめて助成金を申請してやったり、どんな些細なお上の金でも呉....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
農会長を訪ねた。 「僕、満州に農場をはじめかけているんですよ。約三千町歩ばかりの荒蕪地を払下げてもらってね。大々的に、近代式の機械をつかって、アメリカ式にやろう....